『ぐるりのこと。』 (2008) 橋口亮輔監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



橋口亮輔監督の最新作『恋人たち』を観る前に、彼の名作『ぐるりのこと。」を再鑑賞。時間を経て観ると、大概の映画は初めて観た時よりも感動は薄いものだが、この作品はやはりいい。

主役の二人カナオと翔子を演ずるリリー・フランキーと木村多江の演技が作品の雰囲気にマッチして実にいい味を出しているが、この作品が二人にとって初めての映画主演作品。

映画終盤、カナオが蜘蛛を家グモを叩き潰し、翔子が錯乱して彼と言い争うシーンは秀逸。

日常を映し出しながら、その中にドラマ性を持たせる橋口脚本は、カナオと翔子の生き様と裁判で切り取られた人々の生き様(カナオは法廷画家)とを対比する。裁判で争われる生き様も日常の一つという橋口亮輔の視点は鋭く、そこにカナオを傍観者と配する構図が素晴らしい。

前作『ハッシュ!』から6年を経て更にパワーアップした本作は必見の作品。

★★★★★★★★ (8/10)

『ぐるりのこと。』予告編