『ミッドナイトクロス』 (1981) ブライアン・デ・パルマ監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



今月は個人的にブライアン・デ・パルマ月間ということで、『ファントム・オブ・パラダイス』 『アンタッチャブル』 『カリートの道』に続き『ミッドナイトクロス』を劇場観賞。

この映画の好き嫌いは、最後のブラックなユーモアを受け入れるかどうかだろう。

低予算エクスプロイテーション映画の音響担当のジャック(ジョン・トラボルタ)は、夜中に映画用の音録りをしていた。そして交通事故を目撃する。ジャックは池に落ちた車からサリー(ナンシー・アレン)を助け出す。その後ジャックは、サリーと一緒に車に乗っていて死んでしまった男が次期大統領候補だと知る。彼の側近は「このことは忘れろ」とジャックに告げる。ジャックは帰宅後、テレビを見ると、ある男がたまたま事故の映像を撮っていたというニュースを見る。その映像と、自分の録った音声を合わせると、この事故は仕組まれた暗殺だったと確信するのだった。

サリーは売春婦で、金持ちや権力者に取り入ってその現場を写真に撮らせ、ゆすりをする男と共犯だったのだが、事件の真実を公表しようとするジャックにいやいやながら協力することに。この二人の恋愛未満の関係が絶妙。サスペンスの要素が強いが、ジャックのサリーの真の姿を知りながら慕うロマンスの要素も多分にある作品。それが、ラストの展開に生きている。

映画の最後のブラック・ユーモアは個人的には、やり過ぎ感はあるが、だからといって作品のよさを削ぐほどではないと感じた。ジョン・トラボルタの好感度を呼ぶ役作りは、この作品の価値を高めこそすれ、貶めるものではない。

好き嫌いは分かれるかもしれないが、ブライアン・デ・パルマらしい佳作と言える。少なくとも、観て面白くない作品は作らないのがブライアン・デ・パルマだろう。

★★★★★★ (6/10)

『ミッドナイトクロス』予告編