『ファントム・オブ・パラダイス』 (1974) ブライアン・デ・パルマ監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



今月は、よく行くバンクーバーの映画館Vancity Theatre(バンクーバー国際映画祭のメイン会場となる映画館)はブライアン・デ・パルマ特集。彼の作品のうち14作品が一挙公開され、3作品を選んでの割引券も発売されるということで、自分が選んだのは『ファントム・オブ・パラダイス』『ミッドナイトクロス』『カリートの道』の3作品。

まず『ファントム・オブ・パラダイス』。タイトルが示すように、『オペラ座の怪人』のパロディと言える作品だが、作品の印象は、『トミー』と『ロッキー・ホラー・ショー』を合わせたような感じ。『トミー』と『ロッキー・ホラー・ショー』はこの作品の翌年の制作なので、その両作がこの作品から影響を受けたということなのかもしれない。

『オペラ座の怪人』のストーリーを踏襲しながら、ひねりとしてあるのは、登場人物がそれぞれ悪魔と契約を交わしているというもの。作品中でファントムが作曲しているのが『ファウスト』を一連のロック・ミュージックでオペラにするというもの。悪魔と契約するゲーテの『ファウスト』のモチーフを借りたものと言える。

分割画面や目線アングルといった「デ・パルマ・カット」はこの作品でもかなり印象的に使われている。

笑えるシーンも少なくないが、そこはデ・パルマ。底抜けに明るいわけではなく、あくまでダークな感じが全体をおおっている。サントラは今、聞くと少しあか抜けない感じ。

ちなみに主演女優は、『サスペリア』の主人公役のジェシカ・ハーパー(この映画を観たダリオ・アルジェント監督が『サスペリア』の主役に起用した)。

『キャリー』でブレイクする前のブライアン・デ・パルマの、彼らしい佳作であり、カルト・ムービーとして質の高い作品。はまる人にははまるはず。

★★★★★★ (6/10)
『ファントム・オブ・パラダイス』予告編