『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』 (2015) A・モーガン監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



ダッカの日本人襲撃の遠因に、日本企業によるバングラデシュを初めとする発展途上国の安価な労働力の収奪があるのではないかという関心から観てみた。

先進国のファスト・ファッション業界各社が価格競争を勝ち抜くために、発展途上国の労働者を酷使しているという実態を捉えたドキュメンタリー。

そのような事態があることは、自分の買う洋服のタグの生産地が、インドネシア、ベトナム、バングラデシュという国名が普通になった今日、ある程度想像はしていたが、ここまでの状況とは知らなかった。

2013年、バングラデシュのダッカで8階建ての縫製工場などが入居する商業ビルが崩壊し、1100人以上が犠牲になった。本来は工場ではなく商業施設として建設され建物で、基準を満たさない建築が、違法に設置された大型発電機などの振動に耐えられなかったためだった。その事故を知った監督が、世界中を取材して作成した作品。

ファッションは労働依存度が非常に高い産業で、世界の最も貧しい多数の労働者たちが衣服の生産に従事している。消費者の大部分は女性だが、最低限の生活賃金以下の賃金で搾取されている労働力も大部分が女性というのは皮肉である。華やかなランウェイと暗い衣料品の製造工場の対比が印象的だった。

労働力の搾取だけではなく、産業廃棄物の問題(これは発展途上国だけではなく、例えばアメリカの綿花農家にも化学薬品の影響が出ている)も触れられていた。またフェアトレードといったトレンドも紹介。

一消費者の立場で、何ができるか今は答えを持ち合わせていないが、ファスト・ファッションに対する印象が変わったのは事実。またフェアトレードにも関心ができた。

この問題に関心があれば、是非ご覧になることをお勧めする。

★★★★★ (5/10)

『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』予告編