『クローバーフィールド/HAKAISHA』 (2008) マット・リーヴス監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



『10 クローバーフィールド・レーン』観賞前に予習で2008年の『クローバーフィールド/HAKAISHA』を再観賞。以前観た時の印象は薄かったのだが、それもそのはず。ストーリーらしいストーリーがない。ただ、再観賞して「こんなに面白かったっけ」という好印象。

NYを突然巨大怪獣が襲う。その一夜の恐怖を若者たちの視点で描いた作品であり、主人公たちがその様子を一部始終録画していたビデオに撮っていたものがこれである、という構成で全編話が進んでいく。

いわゆるフェイクドキュメンタリーもの、POV(Point of View Shot)手法=「主観ショット・カメラの視点が登場人物側の視点」ものであり、この演出方法で作られて大ヒットした『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の怪獣映画版と思ってもらえればいい。

突如襲う怪獣が何者なのか、(ゴジラのように)突然変異のバケモノなのか、あるいはアウタースペースから飛来したのか、全く説明はなく、観客の困惑はビデオに映る登場人物のそれそのものであるところがミソ。アイデア勝負で、練り込まれたストーリーというわけではない(=手抜き)なところも『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』に通じる。

ちらちら映る怪獣の造形は、2014年の『GODZILLA ゴジラ』のムト―ようであまりかっこよくはないが、それで勝負しているのではないのだから、まあいいのだろう。

なぜ命からがら逃げ惑う人が、ずっとビデオを撮り続けているのかという素朴な疑問が生じることは必定だが、それは「そうしないと映画にならないから」ということで敢えて目をつむることにする。

J.J.エイブラムスは芸達者だが、監督作は深みのない作品が多いと感じているので、この作品のようにプロデュースに徹するのがよいと思われる。『10 クローバーフィールド・レーン』は続編のようでもあり、そうでもないのかもしれないが、それなりに期待。

★★★★★★ (6/10)

『クローバーフィールド』予告編