『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』 (2005) ジョージ・ルーカス監督 | FLICKS FREAK

FLICKS FREAK

いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



プリクエル・トリロジーの完結編であり、オリジナル・トリロジーにつながる作品。前2作の低評価を振り払うスマッシュ・ヒットと言える高評価の作品である。

本作で、アナキン・スカイウォーカーはダークサイドへ堕ちることになるが、そのいきさつに納得できるかどうかは微妙なところ。

伏線は、前作にあった母親シミの死。前作で、アナキンは母の死を予見させる予知夢にうなされるが、それが現実となった時に自分の力が足りなかったことを悔いる。本作では、愛するパドメの死を予見させる予知夢を見るようになり、彼女を救いたいがために、死をも克服する強い力を求める。フォースの力で死生をもコントロールできる(パルパティーンの言葉を借りれば「死をcheatする」)とアナキンが信じることがありえるかどうか。

また、本作でアナキンはジェダイ評議員のメンバーになりながら、ジェダイマスターへの昇格は認められないことに不満を持つ。それは前作でも、オビワンが自分を正当に評価していないという伏線がある。確かに、若くして有能であればこそ、自分の能力が正当に評価されていないと不満に感じることは、人間実社会でも普通にある話だが、それがジェダイ騎士全体を裏切るだけのモチベーションになるかどうか。

そのようにアナキンがダーク・サイドに堕ちる理由を積み重ねてストーリーは作られるが、ジェダイ聖堂で幼いジェダイ訓練生を虐殺することに躊躇がないところまで自分を追い詰めるというストーリーに納得できるかは意見の分かれるところではないだろうか。

しかし、前2作にあった、複雑な状況設定による「ストーリーの分かりにくさ」は少なく、素直に楽しめる作品になっていると感じた。

メイス・ウィンドゥに攻められるパルパティーンの「I am too weak!」というアナキンの助けを乞う振る舞いに、「おいおい、それはないだろ」と突っ込みたくなってしまった。アナキンがメイス・ウィンドゥの腕をはねてしまう展開には驚かされるが、それは父を知らないアナキンがパルパティーンを父のように慕っていたという心理描写を前作までにもっと盛り込んでいれば、もう少し自然だったと思う。

同じく、ダークサイドに堕ちたアナキン=ダース・ベイダーが、パルパティーン=ダース・シディアスに素直に従い過ぎる感もあり、それはアナキンがダース・ベイダーの姿に変わった後、パドメの死をダース・シディアスに「お前が殺したのだ」と言われても、「騙された!」とならない不自然さももう少しどうにかできたのではないだろうか。

やはりこの作品で印象深いのは、ムスタファーでのオビワンとアナキンの対決で、アナキンの両足と左腕をはねたオビワンが悲痛に叫ぶシーンだろう。

Obi-Wan:  You were the chosen one! It was said that you would destroy the Sith, not join them. You were to bring balance to the force, not leave it in darkness.
Anakin:  I hate you.
Obi-Wan:  You were my brother, Anakin. I loved you.

切ないシーンであり、シリーズを通じても情感の高まる有数のシーンの一つ。

エピソード4にうまくつなげつつ、プリクエル・トリロジーのクライマックスを飾る秀作と言える。

★★★★★★★★ (8/10)

『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』予告編