『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』 (1999) ジョージ・ルーカス監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



『フォースの覚醒』鑑賞前に既公開作の復習。時系列順に観ていくことにした。

『ファントム・メナス』は16年ぶりのシリーズ新作、監督業を退いていたジョージ・ルーカスの監督作品としては、1977年のシリーズ1作目以来22年ぶりとなる。公開時には相当期待もし、鑑賞直後の印象は悪くなかった。それにもかかわらず、オリジナル・トリロジーでは3作を通してキープされた期待度及び満足度が、プリクエル・トリロジーでは、続編公開時には相当ダウンしていた理由を再発見したいと思う。

まず観て驚いたのが、CG技術の稚拙さ。人物が小さく映るシーンでは、いかにもはめ込み映像ということが見て取れた。公開時には気にならなかったことから、やはり進歩した最近のCG技術の映像に慣れてしまったということだろうか。

やはりこの作品でのよさは、アナキン・スカイウォーカー(ジェイク・ロイド)のキュートさだろう。ポッド・レースで、ぶかぶかのヘルメットにゴーグルで必死に操縦する様子は制作側のあざとさもあるが、やはり「このアナキンがダース・ヴェイダーに?」というギャップが魅力的であることには違いない(ちなみにエンド・ロールの後、BGMの「アナキンのテーマ」がダース・ヴェイダーの呼吸音に変わることは、この先の展開のメタファーとなっている)。

また、スター・ウォーズ・シリーズを通じて自分が一番好きなキャラクターのダース・モールのクールさ。ダブル=ブレード・ライトセーバーを使って、クワイ=ガン・ジン、オビ=ワン・ケノービの二人を相手するシーンは、ライトセーバーの格闘シーンとしてはシリーズを通じてベストだろう。

こうしたディテールの魅力に対して、ストーリーが弱い感は否めない。パルパティーンが後の銀河帝国皇帝としてダース・ヴェイダーを従えていたことは分かっているので、元老院議員から最高議長になり、ナブーを擁護する善良な姿には裏があることは伺えても、作中に何度も登場するダース・シディアスと結びつかず、ストーリーが分かりにくい。そもそも「ジェダイの騎士」が浸透したコンセプトなのに、それに相対する「シスの暗黒卿」のイメージが弱いことが問題点。壮大なストーリーの謎解きを小出しにするかのような展開は明快さに欠け、鑑賞中に「?」を理解することにエネルギーを費やすのは、一部のコアなファンを除いて、やはり興をそがれてしまうと感じた。

それ以上に、この作品の最大の問題点はジャー・ジャー・ビンクスのウザさ。『フォースの覚醒』公開前のジョージ・ルーカスのインタビューで、「最もなってみたいキャラクターは?」という質問に「ジャー・ジャー・ビンクス」と答えていたのは、彼自身、このキャラクターの不人気を理解していたに違いない。グンガン族の族長ボス・ナスのキャラクターと合わせて、この作品を子供っぽくしている。おどけたキャラクターはC-3POだけで十分。

とは言え、ジョージ・ルーカスの復活はファンにとっては喜ばしい以外の何物でもなく、やはり彼あっての『スター・ウォーズ』シリーズだと思う。

★★★★★★★ (7/10)


『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』予告編