『ボーン・アイデンティティー』 (2002) ダグ・リーマン監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



シリーズ物は続けて観るに限るということで、「ジェイソン・ボーン三部作」を一挙観賞。

1作目が2002年公開『ボーン・アイデンティティー』、2作目は2004年公開『ボーン・スプレマシー』、続く3作目が2007年公開『ボーン・アルティメイタム』。これらは、全てアメリカのスパイ小説作家ロバート・ラドラムの作品を原作としている。

ちなみに原作の「ジェイソン・ボーン・シリーズ」は、ロバート・ラドラムの死後、エリック・ヴァン・ラストベーダーが引き継ぎ『ボーン・レガシー』を執筆するが、これは2012年公開の『ボーン・レガシー』の原作ではないことから(タイトルは同じだが、内容が異なる)、若干話はややこしい。

1作目の『ボーン・アイデンティティー』は、近作では『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を監督したダグ・リーマン、2・3作目は、近作では『キャプテン・フィリップス』を監督したポール・グリーングラスが監督をしている。

これまたちなみにだが、シリーズ4作目の『ボーン・レガシー』で、主演のマット・デイモンが降りた際、ポール・グリーングラスが監督をしなければ、新たなジェイソン・ボーン作品はないと言ったと伝えられている(主演は、ジェレミー・レナーに)。

最近のアクション物といえば、CGが幅を利かせ、それはそれで映像に迫力を増す効果はあるが、「どうせCGだからな」と割り引いて観てしまうことも確か。

この「ジェイソン・ボーン・シリーズ」の評価を高めているのは、CGによらない生身のアクションであること。その本物感が作品の価値を高めていると感じる。

それはマット・デイモンの身体能力の高さにもよるだろうし、スタントの技術の高さもあるだろう。

この第一作でも、のっけから(スイスのアメリカ大使館の)壁を伝って降りるジェイソン・ボーンに「おまえはスパイダーマンか!」と突っ込みを入れたくなるような、ボルダリングを見るような感動があった。

カーチェイス・シーンも迫力満点。ただこれに関して言えば、第2作・第3作の方が上ではあった。

プロットの穴と感じるのは、なぜミッションに失敗したエージェントを組織(CIA)が殺す必要があるのか。映画は最初から、主人公のジェイソン・ボーンが記憶喪失で、なぜか自分は特殊なスキルを持っていて、なぜか命を狙われるという流れなので、最後までそれは邪魔をしないが。

第1作目が以降の作品と違うのは、マリー・クルーツ(女優は、なんとなんと『ラン・ローラ・ラン』主役のフランカ・ポテンテ)の存在。偶然その場に居合わせたジプシーの女性がその後、命を懸けたジェイソン・ボーンの逃避行にほぼ自らの意志で付き合うことになるのだが、舞台がフランスということもあり、フランス映画のクライム物の雰囲気を持っている。

つまり、それは「緩い」とも言え、特に予定調和的なハッピー・エンディングは好みの分かれるところだが、自分的には、第1作から第3作まで通して観て、この作品が一番自分の好みではあった。

どーでもいいことだが、2002年公開のこの映画では、CIAのパソコンの筺体がアイボリーの箱で、えらい時代を感じた。日常生活のITの進歩は目をみはるものがあると感じた。

アクション好きで、見逃していたならば、このシリーズは押さえておくべきだろう。第2作目、第3作目それぞれ単独でも楽しめるが、ストーリーはかなりからんでいるので、第1作目から観ることをお勧めする。

★★★★★★ (6/10)

『ボーン・アイデンティティー』予告編