映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』観賞。
日本のアニメは相当進化しているという証左。まずストーリーがしっかりしている。
近未来(設定は西暦2400年なので「近」ではないかな)では、新人類のパーソナリティはデータであり生身の肉体を持たないという設定がぶっ飛んでいる。そしてその新人類が存在する「楽園」がディーヴァと呼ばれる電脳世界。
ストーリーは、その電脳世界が旧世界であるところの地球から不正ハッキングを受けるということから始まる。主人公は、不正データ・アクセスを取り締まるディーヴァのエリート・サイバー監査官アンジェラ・バルザック。
彼女は地球からのハッキングを取り締まるべく、人工的に培養された生身の体である「マテリアル・ボディ」にダウンロードされて地球に赴く。
ハッキングしていたのは、旧世界の地球に取り残された自立最適化プログラムがアップデートの末に自我を持った人工知能の「フロンティアセッター」。
普通なら自我をもった人工知能は所詮マシンであり非人間的というものだが、この作品の一味違うところは、その人工知能の方が新人類よりよほど人間的であるという設定。
戦闘シーンもさすがゲーム文化が先鋭化している日本のアニメだけあって、スピード感たっぷりで見せてくれる。
個人的な難を言えば、アニヲタには人気のアンジェラのマテルアル・ボディ。同僚の監査官を出し抜くため、成長不十分の16歳という培養途中のマテリアル・ボディに乗り込むのだが、アニメで活躍するキャラがJK相当といういかにもお約束の設定に言い訳をしているのがミエミエ。と言っても、そもそも50過ぎのオッサンをターゲットにしているわけではないだろうから致し方ないところか(50過ぎのオッサンがアニメのキャラに血道を上げても別に問題はありませんが)。
ということで、どうせアニメファンしか観ないだろうけど、最近哲学的なテーマを大上段で扱うアニメが多い中で、比較的分かりやすく楽しめる作品。観ようかなという人には、観て損はないかな。
★★★★★★ (6/10)
『楽園追放 -Expelled from Paradise-』予告編