ロン・ハワード監督『ラッシュ』観賞。
作品は、ニキ・ラウダとジェームズ・ハントが競った1976年のF1シーンを描いたもの。ロン・ハワードは映画『ビューティフル・マインド』(ラッセル・クロウが天才数学者を演じたやつ)でアカデミー監督賞を受賞しているが、私的にはあまり評価が高い監督ではなかった。
しかし観てびっくり。この映画は、スポーツ・ジャンルでは、私の中ではマーティン・スコセッシの『レイジング・ブル』に次ぐ作品になりそう。
機械のように正確でプロフェッショナルなニキ・ラウダと、全てに自由奔放なジェームズ・ハントを対照的に描き、彼らの対決を実にドラマチックに仕上げている。
とにかくマシンの迫力がすごい。特にF1ファンでもなければ、車にそれほどパッションがあるわけでもないのだが、レースのシーンは飽きるどころか興奮の連続。カメラワークもはんぱなくいかしている。
レースを巡る展開のヤマ場はやはりニキ・ラウダがレース中の大事故(やけどと燃焼したFRPボディの有毒ガスを吸ったため体内の血液の70%を入れ替えたと言われている)から、42日目の奇跡のレース復活。
この映画が優れているのは人間が描かれていること。特にジェームズ・ハントの「人間臭さ」は、ニキ・ラウダと好対照で、非常に共感できる(男としてはかなりダメダメなんだが)。
スポーツをベースにしたシリアスかつエキサイティングな映画。お勧めの一本(唯一げろげろっと思ったのが、ニキ・ラウダの事故後の治療シーンの壮絶さが完全ホラーだった)。できれば音響設備のいい映画館で観賞されることをお勧めする。
★★★★★★★★ (8/10)
『ラッシュ/プライドと友情』予告編