『2つ目の窓』 (2014) 河瀨直美監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



遅ればせながら『2つ目の窓』鑑賞。恥ずかしながら、これが河瀨直美初体験。

圧倒的な奄美の自然を背景に、人間の死生観をメインテーマとして、少年少女の大人への成長をモチーフとして描くこの映画はあまりにも完璧。河瀬直美のこの作品との邂逅は、是枝裕和の『幻の光』や西川美和の『ゆれる』に匹敵するもの。

ユタ(民間信仰の巫女)が祭祀を司り、自然との一体感、神への畏敬の念を抱きながら人々が暮らす奄美。神々は草木や石にも、水にも宿るという穢れなき神の島。それを磁場とした死生観を描く映画には、テレンス・マリックの作品に通ずる哲学を感じた。

しかし、その作品はあまりに完璧ゆえに、是枝や西川の作品を「抱きたい」と感じさせるのに対し、神棚に供えたい感じ。

高校一年生の杏子(吉永淳)が恋慕の気持ちや性衝動をストレートにぶつけるのに対し、界人(村上虹郎)は母親の女性としての部分を見出して動揺し、杏子を受け入れられずに葛藤する。二人の瑞々しい演技は秀逸で、特に自転車で転んで「大丈夫か」「......心が......痛い」というシーンは特筆もの。

敢えて欠点を見出すとすれば、自然なセリフの中に、時折ふっと衒学的な匂い(杉本哲太の「波」のセリフとか)があるが、ケチをつけるほどではない。

邦画のレベルは格段に上がっているが、この作品も名作の一つに数えられるべきだろう。ブラヴォー!

★★★★★★★ (7/10)

『2つ目の窓』予告編