国立科学博物館 特別展「恐竜博2019」 | カ素ブログ

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お出掛けレポート中心。科博多め。気が向いたらオモチャのレビュー。

現在、国立科学博物館で絶賛開催中の「恐竜博2019」に行ってきました。

科博の恐竜博、毎回混雑必至なので平日午前中に行きましたが予想に反してヒトが少ない。オレの勝ちだ科博さん。

 

科博での恐竜博は2016年以来3年ぶり、楽しみ過ぎて多少の混雑は気になりません。多少なら。

 

余談ですが、入口からエスカレーターで会場に降りる際、すぐ目の前に見た事のある人物がいるなと思ったら古生物学者で科博の地学研究部主任、真鍋真氏でした。ついこの間放送されていた恐竜博連動のNHKスペシャルにも出演されていてそれを見ていたので「ウワっ、真鍋さんじゃん!いるじゃん!」って得意の平静装いフェイスで興奮していました。声を掛けたりはしませんでした、連れの方もいたし。そこは常識人でいたいので。

 

真鍋氏出現でひっそりテンションが上がりつつ、本題の恐竜に目をやるといきなりスゴイ標本。

デカいトカゲと思われていた恐竜が恒温動物で鳥類の起源じゃね?という仮説へシフトするキッカケとなったディノニクスのホロタイプ標本。所蔵元であるアメリカの大学博物館でも展示されていない超絶貴重な標本です。科博のチカラすごいな。

 

今回の恐竜博の呼び物のひとつである「デイノケイルス」の巨大なツメ。2013年の科博の特別展でも腕しか見つかっていない「謎の恐竜」としてこんな感じで展示されていましたが、今回その全身が明らかになると言うタイガーマスクの正体が佐山聡だった的な恐竜博です。

 

上のデカい腕はまだ予告です。その前にマイアサウラの全身骨格とかでしばらく引っ張られます。

とは言えこれも実物化石なのでかなり貴重な標本です。

 

以前、群馬県立自然史博物館でも見た「ディノサウロイド」。6年ぶりの再会です。

 

恐竜に羽毛があったことを証明した「シノサウロプテリクス」の実物化石。ティラノサウルスの復元がモフモフになったのも全てはこれが始まりです。

 

他にも貴重な標本をいろいろ見て、いよいよデイノケイルスのコーナーへ。まずは頭骨から。

10年前に腕以外の部分が発掘され2014年に論文発表、化石の実物展示はこれが世界初です。

 

同じく世界初公開の脚。先に発掘された全長2mの腕には肉食恐竜のように尖った鉤爪なのに対し、脚は草食恐竜の特徴である蹄状の指、頭部はハドロサウルスのような嘴を持ち、背中にはスピノサウルスのような帆を持つダチョウ型恐竜。かなりトリッキーな恐竜である。

 

で、その全身骨格がこちら。上のトリッキーな特徴以前にまずデカい。推定11~12m、デカい。

 

さっきの予告の腕が身体にくっ付くとこの凶悪さ。よく見る恐竜のイメージからするとウソのようにデカい。

確かにかなり異様ではある。

 

 

見れば見る程不自然に見えてくる。ホントにこれで決定でいいのか?とさえ思えるが自然は人間の想像を超えてくるのできっと白亜紀にはコレがいたんだろうな。

 

 

骨盤がかなり大きい。体躯の大きさに比例してるとしても大きく見える。こんなものなんだろうか?

 

 

属名の由来は「恐ろしい手」。最初にあの腕を見た時はどんだけ怪獣チックな恐竜かと思ってましたが、まさかの草食恐竜だったとは。自然は不思議です。NHKの復元CGはピンク色してカワイイし。

 

デイノケイルスの視線の先には対峙というよりはデカい爪にビビり気味に見えるもう一体の恐竜が。

 

デイノケイルスと同じくモンゴルで発掘されたティラノサウルス類の恐竜「タルボサウルス」。

2013年の恐竜展でも同じポーズで展示されていました。科博所蔵の標本なので多分同一。

 

頭骨の形状がまあカッコいい。ティラノサウルスにかなり近い気がします。上顎の反り具合とか。

ティラノ氏よりもややスマートかな?専門的にも間違われる事の多い恐竜のようです。

 

タルボサウルスと言えば且つては科博の旧本館(現日本館)の中央ホールに直立ゴジラスタイルで展示されていました。その後は2013年の恐竜展2014年の館内リニューアル時の一時展示など。事ある毎に姿を現す科博を代表する標本と言えます。もう常設にしていいんじゃないかと、科博さん。

 

デイノケイルスの脇にあってちょっと気になった標本。テリジノサウルスの新種の可能性がある化石。

しかも爪にケラチン質が残ってるとか地味にスゴイ。

 

デイノケイルス同様に鋭い爪を持っていても草食恐竜だった可能性が高いとか。

この想像図を見てると現生のナマケモノのニッチ(生態的地位)にあったのかもという勝手な想像も出来ます。全長10m前後の巨体でものすごく緩慢な動きだったらそれはそれで可愛いかも。

 

デイノケイルスの次は北海道をメインとした日本産の恐竜化石コーナー。

恐竜化石と言えばモンゴル、北米、中国が有名ですがここ数年は日本でも発見が相次いでいます。

 

このコーナーのメインとなる「むかわ竜」。大型恐竜としては国内では初めて全体の8割が見つかった化石としてニュースにもなっていました。

 

ハドロサウルス類の仲間ですが新種の可能性が高いという事でも注目されています。

ここ数年で且つての日本にも多くの恐竜が生息していた事が分かってきているのは恐竜ファンとしては嬉しい限りです。

 

壁に設置された鏡で俯瞰からも観察できるようになっています。

むかわ竜は化石発見当時は首長竜のモノとされ数年博物館の収蔵庫に眠っていました。こうして発掘済みの化石でも研究し直すと実はとんでもないお宝だったみたいな事があると言うのは恐竜の面白いところのひとつでしょうね。

 

むかわ竜と同様、北海道むかわ町で発掘された「ホベツアラキリュウ」の全身復元骨格。北海道はアンモナイトや首長竜など海に生息していた古代生物の化石が多く出る土地のようです。

 

これまたむかわ町出身の魚竜「フォスフォロサウルス」。この類では初めて両眼視の夜行性が示唆されています。これまで恐竜や古生物化石の産出があまり言われなかった日本でこれだけ色々新種や前例のない化石が出てくるという事は、且つての日本は海外とは異なる古生物の生物層があったのかも知れません。

 

むかわ町、行ってみたいなあ。2017年に北海道でいくつかの博物館に行きましたがむかわ町穂別博物館は交通と時間の関係で行くのを断念した博物館です。いつか必ず行きたい博物館です。

 

こちらは和歌山で発見されたモササウルス類。こちらも新種の可能性がある化石です。新種続々。

 

恐竜絶滅にかんするコーナー。ティラノサウルスの「スコッティ」。やっぱり外せないティラノ氏。

 

やっぱりこの上顎の反り具合がカッコ良くて好きです。ティラノ氏に関してはフサフサになったりまたウロコに戻ったり、脚が遅かったり早かったり学説がコロコロして落ち着きません。色んな復元図が出てくる中で自分が一番好きなのは「骨格」だという事に最近気付きました。

 

いやカッコいい。これで生きていてもカッコいい(意味不明)。

 

「ヴェガヴィス」という白亜紀後期の“鳥類”の化石。化石のCTスキャンから3D復元で鳴き声を推測できるという、化石研究から科学の進歩を感じる展示です。

てか白亜紀後期の“鳥類”て、鳥類の先祖とされる恐竜と“鳥類”ががっつり共存していた時代があったという軽いショック。恐竜好きなくせにそれを知らなかったという軽いショック。そんなもんだオレなんか。

 

今回の恐竜博は展示物からすると多少マニアックな感もありますが、その分?初公開や新種(の可能性)の化石など実物も多数でかなり見応えがありました。

その上で恐竜研究の始まりから現在の最先端の研究報告がしっかり成されている辺り非常に興味深い特別展だったと思います。さすが科博。

 

 

「恐竜博2019」公式HP → https://dino2019.jp/index.html

 

 

 

 

恐竜博を見終えて興奮冷めやらないのでそのまま常設展示へ。毎度の事ですが、科博で恐竜展のあとに常設展を見ると多少見方が変わります。見所が変わると言うか、より細部が気になるようになります。そういうところがまた恐竜の面白いところかも知れません。

 

いつもだともう少し科博でゆっくりして行くんですが、この日はもうひとつ見たい展覧会があったので多少早めに上野から移動。つづきます。