朝の科博。お早うございます。なにげに今年初の科博。
特別展「大英自然史博物館展」に行ってきました。
大英自然史博物館の貴重な標本が370点、その中でも常設展示されているものは17点のみとか。
初の世界巡回展の最初が科博で、全てが日本初公開。見ないといけない特別展です。
まぁそれなりにヒトいるだろうなぁ、なんて気楽に考えてたらとんでもない。朝から大混雑。
まあ科博ですから、安定の混雑です。ドンマイ。
イントロダクションでいきなりの大物。2mはありそうなタマカイの剥製。
体色が残っていないのでかなり古そうです。
これは実物標本ではなくガラス。生物標本に色彩を保つ事が困難だった19世紀後半から20世紀半ば、ガラス工芸家・ブラシュカ父子により精密な生物模型が作られこれを科学者は研究材料としたそうです。
集団で交尾したまま窒息したと思われる三葉虫の化石。なんだろう、やるせない。
しかしまあ混んでる。会場は特に順路を設けていないんですが、自然に行列が出来、行列に並ばないと展示が見れない状態です。やるせない。
イントロダクションを並んだり並ばなかったりしながらチャプター1の展示へ。
ウソだろってほどデカい水牛の角。
なにやらくちゃくちゃしたモノが収められた展示ケースが。
中には無数のハチドリの剥製が。数の多さにもですが、体色の鮮やかさと小ささに驚愕。
テラコッタ製ライオン。1980年代に頑丈なレプリカと替えられるまで、実際に大英自然史博物館の屋根に飾られていたそうです。
カッコいい。カッコ良すぎ。
チャプター2。
イギリスの比較解剖学者リチャード・オーウェンが一片の骨から大型の絶滅鳥類を予言し、のちにその存在が証明されたモアの全身骨格。
モアの横で得意気なオーウェンさん。“恐竜”というカテゴリーの提唱者でもあります。
一方で科学界ではなかなか評判の悪い人物だったそうで。
こちらはダーウィンに関する標本の展示。
ダーウィンの直筆による「種の起源」の1ページ。いやいや凄すぎ。
こんな貴重なもの国外に出していいんでしょうか?
これもスゴイ。ロンドン標本と呼ばれる世界で初めて始祖鳥と同定された化石です。
ネガポジ標本なので左右2枚あり、こちらがメインとなる方。脚の細かなディテールが確認できます。
世界で10個体ほどしか無い始祖鳥の骨格化石、その中でも「タイプ標本」となる超絶貴重な化石。
なんかもう色々凄すぎてワケが分かりません。
凄すぎて放心状態のままチャプター3へ。
英国の探検隊によってもたらされた貴重な標本を見る事が出来ます。
20世紀初頭、ロバート・スコットによる南極遠征で発見された樹皮の化石。
南極が温暖だった証拠です。
チャレンジャー号による海洋探検で得られた標本群。
日本から大英自然史博物館に渡った標本も展示されてます。絶滅した二ホンアシカ。
愛媛県で採取された世界でも希少な大型の輝安鉱の結晶。
博物館が購入して以来、130年ぶりの里帰りだそうで。ここまでの展示を通じて、とにかく歴史の重みがハンパ無いです、この特別展。
チャプター4。絶滅危惧種や絶滅種に関する標本の展示です。
オオツノジカの頭骨。とてつもなくデカいです。
サーベルタイガーの全身骨格。圧倒的な牙の存在感。ホント、自然は人間の想像を超えてくる。
これもデカい、オオナマケモノの全身骨格。
それと驚愕の皮膚!骨格標本は他の博物館や特別展でも見た事があるんですが、「皮膚」の標本は初めて見ました。残ってるのかよ、という驚き。
最後のチャプター。もうけっこう満腹感ですが、まだまだ面白い。
ここでちょっと面白かったのがこの「ピルトダウン人」。結果から言うと“偽物”です。
ヒトと類人猿を結ぶミッシングリンクの発見として発表されたものの、のちに捏造された贋作という事が判明。40年近く科学界を混乱させた悪名高い標本です。
容疑者が全て他界し真犯人は未だに分かりませんが、博物館では今でも研究が続けられているそうです。贋作も研究対象なのか?とも思いますが、巧妙な偽物の真相を探りたくなる気持ちも分からなくもない。まさに限りない探求心。
なんの展示かと思ってキャプションを読むと、「ネアンデルタール人のゲノム」。まさかのゲノム。
ゲノムを目視させるという、なんとも潔い展示方法。
想像以上にボリューミー、そしてあまりに貴重な標本ばっかり。博物史の歴史を直接見る事が出来るはっきり言ってとんでもない特別展です。ここまでとは正直思ってませんでした。
大体が大英自然史博物館に行った事も無いのに、いきなり非公開の展示品が日本でお手軽に見れるという。なんでしょうか、幸せです。
「大英自然史博物館展」公式HP
見るべき特別展です。ロンドンにも行きたいなあ。
でまあそのあとはいつもの如く常設展へ。なんですが、なんかすごく疲れてる。
大英自然史博物館展を見てから常設展を見るとまた違った感慨があります。
自分が存在し得ない太古からの歴史の流れに触れる事が出来る場所、そーそれが博物館。
今回の特別展、満腹感と言うか“重量感”がすごいです。心地よい疲れ方します。おススメ。
「国立科学博物館」公式HP