安倍さんを国葬にするかどうかネットでは議論が分かれているようです。マスコミの論調では多大な功績を残した偉大な総理大臣ということになっていますが、第二次安倍政権の8年間の中で具体的に功績としてどのような事が挙げられるのか探してみました。
個人的に政治家を評価するには二つの軸があると思っていて、一つは実現した政策、もう一つは政治倫理です。田中角栄はロッキード事件のような犯罪に手を染めた半面、政策的には積極財政で日本の発展に貢献した人だと思います。逆に汚職には無縁でも、小泉元総理のような労働規制改革を進めて労働環境を悪化させた人物もいます。実現した政策と犯罪の二つの面から見てみたいと思います。
<政治実績>
- 経済
一番大きいのは在任期間中に消費増税を行ったことだと思います。2012年の自民党が野党時に、民主党、公明党の間で社会保障と税の一体改革について「三党合意」が行われ、消費税を上げるときには景気に注意するということになっていました。安倍政権1年目は財政出動がされていたので、比較的早い時期にデフレ脱却できるのではという期待があったのですが、デフレ脱却もされない中、2回目の増税が行われ景気が腰折れしています。
名目GDPは2013年は500兆円だったのが、政権最後の年の2020年には538兆円になっています。コロナの影響もあるので、まずまずの結果のようにも見えますが、他の国と比べると失政がはっきりすると思います。
2013年 2020年 伸び率 アメリカ 16.8兆ドル 20.9兆ドル 1.24倍 ドイツ 2.8兆ユーロ 3.4兆ユーロ 1.21倍 中国 56.9兆元 102.5兆元 1.80倍 韓国 1.5兆ウォン 1.9兆ウォン 1.27倍 日本 500兆円 538兆円 1.08倍
中国の1.8倍というのは特殊としても、各国概ね1.2倍程度には経済成長しているわけです。GDPは企業の利益や税金、そして給料の源泉ですので、ここが成長しないと所得は増えません。アベノミクスともてはやされましたが、8年もの時間を費やした割には結果はついてきていません。
- 外交
外交で特に注目すべきなのは北方領土問題だと思います。1993年に細川総理とエリツィン大統領との間で「東京宣言」が交わされて、北方四島はロシアと日本が解決しないといけない領土問題という共通認識が確認されました。
ところが、安倍さんは2018年11月のシンガポールでの日ロ首脳会談で、歯舞群島と色丹島の2島返還をベースとした交渉を行っており、国後、択捉を含めた東京宣言で確認された4島返還というベースを崩してしまいました。このことによって、プーチン大統領は国後、択捉についての領土問題は存在しないと言い切ってしまいます。2016年12月には地元山口にプーチンさんを呼んだりして、のべ27回の首脳会談を開いたにも関わらず北方領土問題を後退させてしまいました。
安倍さんは総理大臣を辞めた後に以下のように語っています。
「100点を狙って0点なら何の意味もない。到達点に至れる可能性があるものを投げかける必要があった」
東京宣言から後退してしまいましたので、50点を狙って-50点を取ってしまったというのが実態です。
拉致問題も解決するといいながら、一向に動いているようには見えませんでした。2020年に横田茂さんが亡くなった時に、家族会代表の飯塚繁雄さんがNHKのニュース7に電話出演して、「政府が行動しなければ帰ってくることはない、いずれ家族は歳をとって亡くなっていく」と政府の無策に怒りをにじませているのが印象的でした。素人目にも何もしていないのでは?と思っていましたが、家族会会長の発言からも同様の認識がうかがえます。行動して結果が出なければ仕方ありませんが、何もしないというのは家族としても許しがたいでしょう。飯塚さんも2021年に妹の田口八重子さんと会えずにこの世を去られました。
よく言われた「外交の安倍」というのもアベノミクス同様、空虚なプロパガンダだったように思います。
<政治倫理>
- 森友問題
国有地が違法に安値で売られたのは、総理大臣夫人の働きかけがあったからではないか?という疑惑に始まり、「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」という安倍総理の発言が原因で、売買時のやり取りを記録した公文書改竄が行われました。検察は内容が大きく変更されていないという理由で関係者を不起訴としており、本来責任のあるはずの麻生財務大臣も責任をとりませんでした。政治家も官僚も責任を追及されず、改竄を命令された職員が違法行為を苦に自殺されています。
この事件が示したのは、安倍政権下では公文書は改竄される可能性があるということと、本来独立しているはずの司法権は政治力の前に屈することがあるということです。厚労省が発表する「毎月勤労統計調査」や国交省の「建設工事受注動態統計」も改竄されていたこともあって、政府による改竄、隠蔽、捏造はよくあることになってしまいました。
- 桜を見る会問題
各界で功労・功績のあった方々を招待して慰労するはずの桜を見る会に、選挙区の支援者を呼んだことが支援者買収にあたるのではないかと問題視されました。事実関係を確認するため、招待客の名簿を出すように野党が通知しましたが、そのわずか1時間後に名簿がシュレッダーにかけらています。招待客の中には健康器具詐欺で2000億もの金を集めたジャパンライフ会長の山口隆祥や、マルチ商法で業務停止となった「よつばホールディングス」関係者もいて、首相夫妻と一緒に撮った写真が勧誘に使用されていることから証拠隠滅をおこなったと見られています。
また、桜を見る会の前夜に支援者が宿泊したホテル費用を政治資金から出したのではないか?という疑惑が持ち上がりました。もし、そうであれば政治資金収支報告書不記載となるためです。当初は「後援会としての収入支出が一切ないので、政治資金収支報告書への記載は必要ない」と主張していましたが、ホテル側の主張との辻褄が合わなくなり、秘書が勝手にやったとうことで政治資金収支報告書へ修正記載することになります。ただ、そうなると今度は支持者への寄付ということで、公職選挙法違反の疑いがでてくることになります。しかし、またも東京地検特捜部は嫌疑不十分ということで安倍総理を逮捕することなく、秘書を略式起訴するだけにとどめています。
この事件でも森友同様、公文書の安易な隠滅が行われていて、国会の中で118回以上もの虚偽答弁を行った総理大臣の議会軽視が明らかになりました。また、ジャパンライフといった反社会的勢力との癒着も問題となります。
思いついたものだけ取り上げましたが、政治的な実績がないばかりか政治倫理的にも非常に問題のある人物だと言わざるを得ません。他に取り上げたとしても傷口を広げるだけですので、サンプルとしては十分だと考えます。統一教会というバズワードも出始めていますので、今後の解明に期待したいと思います。ちょっとまとめておきます。
| 政治実績 | 政治倫理 | |
| 田中角栄 | 〇 | × |
| 小泉純一郎 | × | 〇 |
| 安倍晋三 | × | × |
政治的な実績もなく、ただ悪さだけを8年間も行った総理大臣というのが個人的な感想ですね。国葬にするというのであれば、それなりの根拠を示す必要があるのではないでしょうか。
