地理的に近い国は文化も似ているとよく言われるが、日本の文学作品は中国人にとってもなじみやすいものが多く、内心の独白を綴った「人間失格」(太宰治)も、人の本性を鋭くえぐった「ノルウェーの森」(村上春樹)も、労働者の苦難を描いた「蟹工船」(小林多喜二)も、多くの中国人が共感している。 4月12日、第38回川端康成文学賞が発表され、短編小説「犬とハモニカ」が受賞した。著者は実力派作家の江国香織である。彼女は2004年に直木賞を受賞しており、その豊かな表現力は評価が高い。今回の川端康成文学賞は6月29日に東京虎ノ門のホテルオークラで授賞式が行われる予定で、賞金は100万円である。ここにまた中国人読者の心を打つ傑作が一つ、登場したのである。 江国香織は1964年生まれの小説家で、児童文学、翻訳、詩作も手がける。父親は有名なエッセイストの江国滋である。20歳の時に詩作品を初めて雑誌に投稿して掲載され、その後、童話賞や文学賞を次々に受賞する。1992年に紫式部文学賞を受賞した「きらきらひかる」は映画化もされて話題になった。直木賞受賞作は「号泣する準備はできていた」である。 最近は、辻仁成との共作による「冷静と情熱のあいだ」や「右岸」「左岸」、20代の青年と40代の女性の恋愛を描く「東京タワー」、純粋な二人の兄弟を描いた「間宮兄弟」などの作品があり、いずれも映画化された。今、最も人気を集める女性作家の一人である。 注:川端康成文学賞は日本の有名な文学賞で、その年度で最高の完成度を持つ優秀な短編小説に与えられる。主催は、川端康成の功績を記念して1975年に設立された、川端康成記念委員会である。川端康成は日本で初めてノーベル文学賞を受賞した作家で、落ち着いて細やかな文体を持ち、その作品は日本的な特色が濃厚である。「伊豆の踊子」「雪国」「古都」「千羽鶴」などの作品が、今も愛されている。 |
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