直木賞決定 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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直木三十五賞と芥川龍之介賞は、文学愛好者でなくても、誰でも知っている賞だろう。日本文壇の「アカデミー賞」とも言えるこの二つの文学賞の対象は、それぞれ異なっている。直木賞は長・短編大衆文学の代表的な賞であるが、芥川賞は純文学の短編作品に与えられる。両者ともに、たいへん影響力の高い賞で、文学という大海原にあって、作家にとっては受賞が登竜門のようになっている。

直木賞と芥川賞は、文芸春秋社が1935年に設立し、これまで76年間経っているが、なぜ今年は第145回なのだろうか?実は他の文学賞と違って、これらの賞は年二回授与されるのだ。今月14日、日本文学振興会は東京で、直木賞と芥川賞の選考会を行い、48歳の池井戸潤さんが経済小説「下町ロケット」(小学館)で、他の四人の候補者を破って今年の直木賞を受賞した。一方芥川賞の方は、水原涼さんの「甘露」など5作品への投票数がいずれも過半数に達しなかったため、該当者なしとなった。芥川賞は2010年の142回と同様、受賞者が空席となった。


池井戸潤さんは慶應義塾大学卒業で、以前は三菱銀行に勤めていたため、金融知識が深い上に、文学の素養が高く、独自の経済小説のスタイルを持っている。かつて「空飛ぶタイヤ」が136回、「鉄の骨」が142回の直木賞候補作品になったことがあり、候補になったのは三回目だが、今回はついに受賞することができ、100万円の賞金を獲得した。受賞作品の「下町ロケット」の主人公は佃航平と言い、彼は宇宙工学の研究をあきらめて、東京都大田区の実家で工場を経営している。小説では、中小企業(佃製作所)と大企業(帝国重工)の間の戦いが描かれ、中小企業のたくましい向上心が示される。


バークレイズ銀行の研究データによれば、東日本大震災の復興に必要な資金は1800億米ドルに上るという。中小企業の振興を推し進め、経済復興を促進するために、この経済小説「下町ロケット」は希望の光のように日本を照らしている。


文芸春秋/各賞紹介 http://www.bunshun.co.jp/award/naoki/index.htm