川島小鳥の傑作「未来ちゃん」 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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日本の「80年代生まれ」のカメラマン、川島小鳥さんについてご存じない方も多いだろう。彼は、一人の少女を四年間撮り続けて写真集「BABY BABY」(学研教育出版社)を作り上げた。ファンたちが「BABY BABY」の中に見られる、平凡な生活の中に花開いた美しい瞬間をまだ味わっている間に、川島さんはこの春、新作「未来ちゃん」(ナナロク社)を発表した。2010年4月に、川島さんは500冊の「未来ちゃん」を自費出版したが、あっという間に売り切れてしまった。そこで、一年を経た2011年3月に、元の写真集に新たな作品を加えて、2009年12月から一年間の撮影作品を収録した。装丁は祖父江慎が手がけており、全204ページ、価格は2100円である。


「未来ちゃん」の少女は当時2歳の、川島さんの友人の娘である。撮影場所は佐渡島が中心で、追跡撮影するために川島さんは毎月この友人の家に一週間ほど居候させてもらったという。佐渡島は新潟県に属しており、本州の西側の島で、山も海も美しい。こうしたすばらしい地理的条件の下で、未来ちゃんは大自然に抱かれてらを抱いて微笑み、大気の中の湿った草の香りを呼吸する。彼女の涙でいっぱいの大きな瞳は、心の中の悲しみを少しも隠そうとしない。流れ出した鼻水は、見る者にインパクトを与える。真っ白な雪の中の、黒々とした眉と真っ赤な頬の彼女の顔が忘れられない。……目の前の写真は静止して動かないのに、それぞれのページが無声映画のように、歳月の流れを感じさせてくれる。「生活の中に美しさが欠けているのではなく、美しさを発見する目が欠けているのです。」彼の手にしたカメラは魔法の杖のように、生活の中の美しさを、見ることのできる追憶に変えていく。


カメラマンの松岡一哲さんが川島さんに、二人展をやろうと誘わなかったら、我々は今この喜怒哀楽に満ちた「未来ちゃん」を見ることはできなかったかもしれない。当時松岡さんは子供を中心とした写真を撮っており、二人展なので、川島さんも子供を主人公とした写真を撮れば二人展としての意味があると思ったのである。「未来ちゃん」の中の少女の本当の名前は「未来」ではない。川島さんは、なぜ写真集の名前を「未来」にしたのだろうか?みなさんに、是非想像していただきたい。

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川島小鳥のサイト http://kawashimakotori.com/