映画界の新しい力 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

統計によれば日本は1998年以来、自殺者が13年間連続で3万人を超えているという。世界的な経済不況を背景として、国民の生活のストレス、社会における経済格差、無差別殺人などが、無視することのできない社会問題になっているのだ。明日(6月11日)から、直接的で大胆な手法を使って現代の若者の心の苦しみを描き、社会の抑圧が若者に与える重圧を表現したインディーズ映画「シンクロニシティ」が東京渋谷のアップリンクXで上映される。


岡崎(小林且弥)は、意欲の欠けた美術学校生である。画家になると公言する彼だが、実際は母親や何人かの女性たちからお金をもらって、怠惰で無為な生活を送っている。美術学校で、援助交際をしている緑子(宮本一粋)と知り合い、互いを必要とするようになって付き合い始め、恋人ではないが肉体関係を持ち続けている。緑子は自分なりに岡崎を愛しているのだが、ぼんやりとした永遠に続くかのようなこの生活が、ある日突然の事件によって打ち破られる。


間違いなく大きな話題になりそうなこの作品の主演は、若手実力派俳優の小林且弥と、元音楽グループ「二千花」の宮本一粋である。身長188㎝の小林はモデル出身で、最近は映画「ロストパラダイス・イン・トーキョー」での巧みな演技がたいへん好評だったが、今回の映画でも退廃的な青年の孤独と悩みをよく表現している。また、宮本は初めての映画出演だが、その自然でリアルな表現は、無限の魅力と神秘性に満ちている。


この他、田渕ひさ子、百々和宏、富澤タク、りりィなど、多くのスターが出演しており、2009年に初めての長編映画「キリトル」を撮った田中情が監督を務める。商業主義に迎合しないインディーズの手法によって、最も根源的な芸術精神が表現し尽くされている。閉塞感と虚無感漂う現代の男女が人生の価値を探し求める時の細やかな感情を、大胆に展開される若者の男女関係と生活スタイルを通して描くことによって、厳しい社会問題を追求し、人生の意義について考えさせる。――これこそ、「シンクロニシティ」を見た後に我々に残される、深い啓示と言えるだろう。

写真提供:田中情

「シンクロニシティ」公式サイト http://synchroni-city.jp/