日本の伝統的なお菓子の中で私が最も好きなのは、米で作られたお団子です。こうしたお団子は白くて丸くて、形がとても可愛らしいのです。食べるととてもかみごたえがあり、素朴な米の香りが楽しめ、熱いお茶と一緒にいただくと本当においしいのです。
春の桜が満開の頃、日本人は花見の時に花見団子を持っていきます。これはピンク、白、緑の三つの団子を串に刺した三色団子で、色を見ただけで嬉しくなります。また中秋節になると、団子は神様にお供えするものになり、名前も「月を鑑賞する」という意味で月見団子と言います。お団子の味には醤油、小豆、よもぎなどがあり、食べる時につけるたれも店によって異なります。小豆あんを団子の上に塗ったり、きな粉をつけたり、枝豆で作った緑色のあんをつけたり、さらにはお団子を串に刺して焼いた後、甘辛い醤油のたれをつけるものや、紫芋のあんをつけて食べるものなどいろいろです。お団子は元々中国から日本に伝わったもので、江戸時代(1603~)になって日本全体に普及しました。元禄年間(1688年~)には、各地に名物団子が出現して、流行するようになりました。
今でもよく覚えていますが、私が始めてこうしたお団子のおいしさを知ったのは、東京の日暮里駅付近にある「羽二重団子」という老舗でのことでした。文政二(1819)年に創業したこの和菓子の老舗は、「羽二重団子」の販売で有名になりました。たぶん多くの方が、「羽二重って何?」と思われるでしょう。羽二重とは日本の伝統的な織物の名称で、絹を織った織物の代表となっています。この店で売っているお団子は、食べると食感が、絹糸を交錯させて織った羽二重のように柔らかく、細やかだったので、みなが絶賛してこの名前がついたのでした。店で最も代表的な商品は、醤油を塗って焼いた焼き団子と、なめらかな小豆あんで包まれた餡団子の二種類です。また、この店のお団子は一般に売られているお団子とは違いがあり、やや扁平な形になっているのが特色です。また、このお団子はとてもおいしいので、有名な文人である夏目漱石、正岡子規、司馬遼太郎などが大いに好み、自分たちの作品でも言及しています。
日本国内で有名な団子の店が次第に消えていく現代にあって、この店は長い歳月を経ても依然としてここにあり、現代人に190年以上前から変わらない伝統の味を味わわせてくれます。私は本当に嬉しく感じます。みなさんも日暮里駅を通ることがあったら、夏目漱石も絶賛した羽二重団子を是非食べてみてください。(哈日杏子執筆)
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