「オタ中国人の憂鬱」 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

80年代の初めに「鉄腕アトム」が中国のテレビに登場してからこれまでに、日本のマンガ・アニメ、ゲームなどは中国で何千万ものファンを生み出してきた。日本と同様に、中国のマンガ・アニメのサブカルチャーは主流になりつつある。例えば「宅(オタク)」という言葉は、動詞としてもライフスタイルとしてもすでに広く知られており、「オタクの人々」の範囲を超えている。だが、この広大な中国の「オタク現象」について分析、研究した本は、国内ではほとんど見られず、マンガ・アニメファンやメディアが自己分析を行っている程度であった。ところが日本の出版社、武田ランダムハウスジャパンでは今年、中国のオタクについて全面的に紹介して分析した日本語の書籍を発行し、日本で大きな反響を呼んでいる。

この本は「オタ中国人の憂鬱」といって、日中両国で大人気のアニメ作品「涼宮ハルヒの憂鬱」をもじっている。著者の百元籠羊(明らかにペンネームである)は、1980年に東京に生まれ、1990年代に両親と共に中国に渡り、北京で中学、高校時代を送り、清華大学を卒業している。著者は本の中で、自分は日本人なので中学時代に中国人の同級生によくいじめられたが、高校に入ってからは周囲に日本のアニメやゲームの好きな同級生が増えてきて、彼に対する態度も変わっていったと言っている。彼は清華大学でアニメサークルに入り、たくさんの友人と付き合った。著者は、日本のアニメやゲームが中国で流行したために、彼の中国での運命が大きく変わったと感じている。このことが、彼が「中国のオタク」を研究して本を出版することになった契機になっている。


「オタ中国人の憂鬱」は200ページの単行本で、そのうち半分をさいて日本のマンガ・アニメ、ゲームなどが中国でどんなに流行しているかを紹介し、中国のオタクと日本のオタクの作品に対する注目点の違いを分析している。分析の対象となっているのは、20世紀に流行した「聖闘士星矢」「スラムダンク」から、現在流行している「けいおん!」(K-ON!)、「ヘタリア」まで含まれている。後半では、著者は中国のオタクの立場に立って、多くの日本人には理解しにくい中国人の思考方式や、同じ物事に対する異なる観点を分析している。例えば、海賊版の許容、三国時代の人物に対する見方、日本の学園生活や制服文化などについて述べられている。この本は現在のところ、最も全面的に中国のオタクについて紹介した本であると言えるだろう。

Photo by 松鼠

百元籠羊のブログ http://blog.livedoor.jp/kashikou/archives/50952481.html