高校の3年間1195日のうち、休日を除くと出席すべき日数は約600日になる。卒業後は一瞬のうちに過ぎたように感じられる3年間も、在校時には誰でも「長いな」と感じた経験が多かれ少なかれあるだろう。十二分に注意をしていても、集団生活の中では、頭痛や発熱、風邪などで体調を崩したり、家の用事などで休む場合も出てくる。
ところが、長野県木曽郡南木曽町の蘇南高校3年A組の23人の生徒たちは、入学してから1人も欠席をしていないのだ!今月13日までで計577日。卒業式までに残された17日間で何かが起こらない限り、このクラスの生徒たちは無欠席の状態で高校生活を終えることになる。県の教育委員会の高等学校教育科では、高校3年間で欠席が出なかったという例はこれまで聞いたことがないとしている。生徒たちは、大きな病気も怪我もしないで3年間を過ごせたことにとても感謝しているそうだ。
A組は男子12名、女子11名で、普通、電子、商業の3つの学科に分かれている。入学時の担任だった青木淳教諭(36歳)が、皆勤をクラスの共通目標にかかげた。実はこの23人の中で、中学時代に皆勤だった生徒は1人もおらず、欠席ばかりしていた生徒も多くて、全員の欠席日数は合計665日だった。
仕事は欠勤をしないというのが社会人の基本なので、青木教諭は自分の生徒たちに、高校時代にこのような習慣を身に付けてほしかったという。そして「無休」と書いた額を掲げ、100日達成などの記念日には、「よくやった」と生徒たちを激励した。1年目、2年目の無欠席達成の時には、賞状を贈った。ルーム長の松原祥くん(18歳)は、始めた時は連続3年間無欠席は絶対不可能だと思っていたが、先生に励まされて、少し体調が悪い時もがんばったのだそうだ。卒業後は、JR東海に採用が決まり、3年間の努力と共に社会人としての自信も得たようだ。
何名かは早退したり、一部の授業を休んだりしたために、皆勤ではなく精勤になるが、卒業まで全員無欠席の記録はまもなく達成できそうだ。青木教諭は、以前も生徒たちに皆勤を目標にさせようとしたことがあるが、達成できそうなのは今回が初めてだ。これは、生徒たちが目的を達成したいという強い願いを持った結果であろう。先生は、生徒たちがこのことで自分に自信を持ち、卒業後は職場や学校などの新しい場所でさらに努力してほしいと話している。