英語で書かれた「オタク辞典」 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

「オタク」は、本来の「お宅」とは違って、一種のライフスタイルを表現しており、秋葉原のアニメ文化から生まれた言葉だ。この言葉は1990年代に、国内で最も早い時期のアニメ・ゲーム雑誌を通じて当時の青少年の間に広まり、6~7年前に流行雑誌によって広められた結果、全国で誰もが知る言葉になった。


「お宅」という日本語は本来二人称の尊称であり、中国語の「貴府」に当たる。1982年のアニメ「超時空要塞マクロス」で、ヒロインの鈴明美(中国では林明美)が主人公を「お宅」と呼んでいる。アニメの人気が高まる中で、鈴明美は日本で最初のビジネス化された架空のアイドルキャラクターとなり、「オタク」はアニメ、ゲームファンの代名詞となった。


30年がたちまち過ぎ、「オタク文化」は日本において、青少年のサブカルチャーの枠を超えて主流文化となり、様々なものを含む一つの文化を形成した。さらに日本のカルチャー製品が輸出されるのに伴って、「オタク文化」は世界中に影響を及ぼすようになった。中国の若者が「宅男宅女」という言葉を口にしているばかりでなく、「オタク文化」は欧米でも流行し始めている。「ドラゴンボール」「幽遊白書」などの知名度は「バットマン」にも劣らず、「オックスフォード英語辞典」にはすでに「オタク」の英語である「otaku」が収録されている。


しかし、欧米と日本には大きな文化の違いがある。日本のアニメのシーンやキャラクターが好きでも、ストーリーや背景などがよく分からないという欧米人は多い。そこで、この二つの異なる文化の間の架け橋を作ろうという人が現れた。日本に留学中のアメリカ人、パトリック・ガルバレスさんが、欧米人向けの英語版「オタク辞典」を作ったのである。


このオタク辞典には600あまりの言葉が収録されており、それぞれの意味と由来を欧米人の読者にもわかるように詳しく解説している。これらの解説はオタク文化の様々な方面に及んでおり、「ロリコン」「喪男」「自宅警備員」などのオタク用代名詞、「海洋堂」「士郎正宗」などの固有名詞、さらには「東京ゲームショウ」「コミケ」などのイベント名まで収録されている。ガルバレスさんは東京大学で「オタク文化」の研究をしているので、この辞典はかなり権威があると言える。このガルバレスさんは、自分でもアニメキャラクターに扮して秋葉原に出没しているそうで、まさに真のオタクと言えるだろう。

(C)2011 Kodansha International Ltd.

講談社インターナショナル http://www.kodansha-intl.com/ja/  (日、英)