日本でこんな統計を取った人がいる。一つの公衆トイレの男性用小便器について、一年でなんと10万~30万円(8000~25000人民元に相当)の水道費がかかるというのだ。ある学校に1000人の男子生徒がいたら、1年で小便器に流される水の量は2400トンに達し、水道費は134万円もかかる。お金は気にしないとしても、ますます不足する水資源を考えると、これは大きな浪費である。自動水洗ならば、電気代と修理費もかなりの額に上るはずだ。
また、化学の常識でありながらあまり注目されることのない、こんな事実がある。トイレの嫌な匂いは、実は水を流すことによる面が大きいのだ。尿素は無臭で、多くの化粧品に「天然保湿成分」と書かれているのも実は尿素なのである。尿素は水の中で不安定になり、二酸化炭素、アンモニア、および他の物質(メラミンなど)に分解される。我々が悪臭と感じるにおいは、ほとんどがアンモニアによるものなのだ。要するに、水を流すのは、お金をかけて臭気を撒き散らし、水資源を浪費し、二酸化炭素排出量まで高めていることになるのである。小便器に水を流さなければ、経済効果も環境的効果も高まるというのだから、一挙両得だ。
現在、多くのバス・トイレ用品メーカーが「水を使わない」研究を進めている。その中で、アメリカのWaterless社の研究はすでに成果を上げている。彼らの開発した小便器は、「無水」と「無臭」の二つの課題を解決した。すでにこの小便器は太平洋を越えて、日本に上陸している。100%水をカットし、消臭もすることができるこの小便器は、実は排水口に工夫がされている。
開発者は排水溝内部を、U字型槽を備えたエコトラップにし、そこに特性のブルーの防臭液を入れた。尿がエコトラップに入ると、防臭液が油のように尿の表面に浮いて、エコトラップの下部に尿を密閉し、外界から完全に隔離する。尿はU字型槽に沿って下水道に入り、上に浮いた防臭液は流れ出ないようになっている。水と防臭の問題は、このように一挙に解決されるというわけだ。駅やショッピングセンターなどのトイレにこの小便器を取り付けた場合、平均1時間に20回使用するとして、10年間使用できる。普通の小便器と比べて、160万円(13万人民元に相当)も節約できるという。中国でもこんな小便器が早く普及してほしいものである。
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