デザインの爽やかな風を浴びて | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

待ちに待った東京デザイナーズウィーク2010が、開幕初日に突然中止になり、10月最後の週末が落胆の日となってしまった。しかし幸いなことに台風はすぐに去っていき、明治神宮外苑の絵画館前には賑わいが戻ってきた。天から降りてくるブルーの布、まっすぐに続くブルーのカーペット、様々なスタイルのCONTAINER EXHIBITION、たくさんの星が輝く白いアーチ型の「TDW-DOME」……、この夢のようなデザイン王国の自由な風を浴びていると、雨風にさらされた空に微かに残っている陰りも吹き飛ばすことができそうだ。


 「環境」×「デザイン」という目に鮮やかな文字が、ブルーの幟に描かれている。もちろんこれは単なる地球温暖化への警告ではなく、周囲の「生活環境」、自分自身の「カラダの環境」、そして豊かな「ココロの環境」の総称である。これまでの「100% Design Tokyo」に代わって登場した「ENVIRONMENTAL DESIGN TENT」、新たに増設された、地球と生活環境をテーマとしたコンペティションなど、どれもがデザインと環境の日々緊密になる関係を示している。


緑の芝生の上では学生たちの創意に溢れた作品があちこちで注目を引き、企業とはまったく異なる視線を持った35のアートデザイン学校の学生たちの作品が、このアジアにおけるデザインの一大イベントで若い力を大いに見せ付けている。また外国のデザイナーたちの参加や外国からの来場者も激増しており、「絶滅危惧種」をテーマとした学生のデザインコンペティションでは、英語、中国語、韓国語、フランス語などの様々な言語が飛び交って、それが国際的な大都市の空に沸き立っていくようだった。


心に深い印象を残したのは、黒いテントで行われた、ちょっと変わった「JARAPAGOS展」である。熊澤未来子の巨大作品「恐慌」は、女性の一生が混沌とした現代社会に沈んだところからもたらされる無限の視覚的な衝撃が描かれ、近藤聡乃のビデオ「てんとう虫のおとむらい」は、赤と黒の美しい情景の中で生き生きとしたてんとう虫と少女の夢の世界が描かれ、美しい音楽と心にインパクトを与える映像が現代人の疲れた心と体を洗い流してくれる。


来場者にプレゼントされるエコバッグ「SACOCHE」を肩にかけ、記念品である富士火山帯の地下600メートルから採取した温泉水「Fenel」を持って、去りがたい思いで会場を後にした。心に大きな喜びを得られたのは確かなのだが、袋いっぱいの広告の紙を持たされたことは、「環境」×「デザイン」の大合唱の中で唯一の不協和音であったかもしれない。来年はこの点の改善を期待している。

PHOTO BY YAO YUAN

TOKYO DESIGNERS WEEK 2010公式サイト http://www.tdwa.com/  (日、英)