馮学敏の新作を見る | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

おっとりとして可愛らしいたくさんのパンダたち、宇宙から来たかと思われる不思議な三星堆の文物、ゆったりした空間で文化と共に歩んできた古い茶館、人間の精神を超越したようなシャングリラ……どれもが言葉では言い表すことができない感動的な瞬間だ。それらが国際都市、銀座のにぎやかな街の中に静かに展示されている。日中の民間の文化交流を深めると共に、四川大地震後の復興に対して積極的に援助の手をさしのべてくれた日本の人々に感謝するために、在日中国人カメラマンの馮学敏(ひょう・がくびん)さんの個展「四川・パンダの故郷」が、9月2日から8日まで、東京銀座のニコンサロンで開催された。

馮学敏さんは1985年に来日して撮影を専攻し、現在は株式会社ADKのフォトグループ局長を務めている。彼は十年以上にわたって世界各地を訪れ、苦労を重ねながら様々な世界の美しさを広く吸収し、自分の故郷を見つめなおした。その「故郷シリーズ」は、どれも中国文化の最も典型的な姿を示す風物を捉えて、小さなものから大きなテーマをさぐり、些細な部分からその未来を見通し、広大な故郷の美しさと民族の美しさを表現した。1999年には「雲南」をテーマとして、日本の第36回「太陽賞」を受賞した。彼は同賞を受賞した初めての外国人であった。2000年には「蔵族老婦(チベット族の老婦人)」によって、中国文化部の「世界華人芸術大賞」金賞を受賞した。2006年にはニューヨークの国連本部で個展「心の故郷――中国文化の旅」を開催した。「週刊東京流行通訊」では、この日中両国の写真界に影響を与えた「映像詩人」について、特別増刊号でご紹介したこともある。

去年の5月12日の四川大地震の後、馮学敏さんは4回も四川の被災地を訪れ、その行程は6000キロ以上にわたった。彼は地震の傷跡にカメラを向けるのではなく、人々の優しい心、壮観で美しい自然、そして純朴で勤勉な住民たちを被写体とした。九寨溝の仙境、小さな町の茶館、丹巴蔵寨、松州の古い街、稲城の神山、蜀南の竹海、そして世界中の人々に愛される「国宝」――パンダ。その強い生命力と生き生きとした姿が、写真の中でまったく新しい姿を与えられ、世界に向かって胸を張って叫んでいる。「パンダたちが元気に育つ故郷は、今も美しく感動的だ」と。

「四川・パンダの故郷」については、展覧会と同時に同名の写真集が四川美術出版社から出版され、中国作家協会主席の鉄凝氏が序文を寄せた。今回展示された50点の作品は、これまで未発表だったものばかりである。この展覧会はさらに、10月6日から18日まで、長崎で開催されるそうだ。

ニコンフォトギャラリー/迷人秘境 http://www.nikon.co.jp/main/jpn/feelnikon/nature/charms-of-tibet/photo/index.htm