お金の為に始めたチャットレディーで、T君と出逢い、フラれて傷付いた・・・。

その傷を癒すために見つけた相手、Mさん・・・。


Mさんにどんな言葉をもらっても、心がときめいたりする事は無くて、常に物足りなさを感じてました。Mさんが私より二周りも歳が離れてるからか、カッコよくないからか、明確な理由は分からないけど、プレゼントを貰ってMさんへの気持ちが変わった今も、T君の時の様なドキドキや昂ぶりはありませんでした。

ただ、人として素晴らしい人だと認めただけで、人として好きになっただけで、恋とはまた違った感情でした。



ケーキを食べ終えて私がテレビをつけると、Mさんは私の隣に座って言いました。


「綾香さん、良かったら付き合って欲しい。

会ってからますます好きになってしまった。

もし付き合えなくても、好きでいさせて欲しい」


突然の告白でしたが、私は何となく、そういう流れになる気がしてました。



私の気持ちは、自ら欲するほどMさんを求めてなかったし、何故かMさんは恋愛対象外で・・・会って顔を見て幻滅したってのもあって、本当は付き合う気なんか無かったんだけど、「このチャンスを逃したら一生誰とも付き合えない・・・」と思って、すぐにOKしてしまいました。


大人しいMさんだけど、告白の返事を聞いた途端に大胆になって、私に抱きついてきました。私は男性とこんな風に触れ合うのは生まれて初めてで、体中ガチガチに緊張してたんですが、頭の中が真っ白になっていて、何となくMさんに抱きつく形で応えていました。


相思相愛と思ったのか、Mさんは私の唇にキスをしました。


私は・・・好きでもない人とのお付き合いを了承して、ファーストキスをあげてしまって・・・拒もうと思えば拒めたのに、ズルくて弱い自分の考えからこうなってしまった事を少し悔やんでいました。


気乗りのしない私をよそに、Mさんのキスは荒くなっていって、よくドラマのHなシーンにあるような、舌を使ったキスをしてきました。本当は、気持ち悪くてやめて欲しかったのに、こんな高価なプレゼントも貰ったし、拒めば一生独り身で居続けなきゃならない気がして、私には拒むことなんか出来なくて・・・。


Mさんは私の上半身をソファーに押し倒して、激しいキスを続けてきました。こんな体験が初めてだから緊張していたのもあったし、気持ち悪いから硬直していたってのもあって、私はされるがままだったんですが、Mさんは私のブラウスのボタンを外し始めて・・・少し怖くなってきました。


「ごめんね、無理矢理する気はないんだけど・・・

綾香さんさえよかったら、ベッドにいく・・・?」


怖かったけど、私はその誘いを受け入れてしまいました。

食事を終えてホテルの部屋に戻り、しばらくおしゃべりをした後、Mさんはフロントへ電話を掛けました。その約10分後には係りの人が、部屋に豪華なケーキとシャンパンを運んでくれました。


ケーキを食べる前にMさんは、

「気に入ってもらえるか分からないけど・・・」

と言って、自分の鞄から細長い綺麗な箱を出し、私にくれました。

私はお礼を言って、その箱をそそくさと自分のバッグにしまおうとしたんですが、

「良かったら開けてみて」

と言われて、その場で箱を開けて見ました。


中には大粒のダイヤモンドのネックレスがありました。


「こんな高価なもの・・・受け取れないよ!」

「いいんだよ、俺が好きで用意したものだもん」

「私なんかには似合わないよ・・・」

「そんな事ないよ、ほら、付けてあげる・・・」


Mさんは席を立って、私の指からネックレスを取り、私の背後に回ってネックレスを付けてくれました。私は、自分にこんな事をしてくれる男性が現れるなんて信じられなくて。。。


「そこの鏡で見てみなよ、すごく似合ってるから」


信じられないほど大きなダイヤ。。。

50万・・・?100万・・・?

いや、絶対そんな値段じゃない。。。

一体いくらしたんだろう・・・?

どうして私なんかの為に・・・??


「ありがとう・・・!」


私がそう言うとニコリと微笑んで、Mさんはケーキを切り分けました。



決して外見は良くないけど、この人ほどカッコイイ人はいないんじゃないか・・・そう思えてきて、私はMさんの事が急に好きになりました。 この人となら、ずっと幸せに、死ぬまで幸せに暮らせる・・・。

12月24日、Mさんは予め場所を指定してきて、ホテルまで予約したといいました。ホテルに入っても無理に抱いたりしないし、ただ一緒に食事をして、お話しをして、別々のベッドで寝てもいいと言ってました。Mさんは始めから冷静な人で、T君のように熱い恋心を私にぶつけて来るような事は一度もありませんでした。


クリスマス当日、私はMさんと会う為に電車に乗りました。


私は服のセンスも悪いし、自分ではすごく綺麗な服を選んで高いお金を出して買った筈なのに、電車の中で若い男性グループに笑われました。私の身体では3Lサイズの服しか無いので、どうしてもオバチャンっぽい服になります。


化粧もしました。どんな化粧品を使っていいのか分からなかったけど、自分の古典的なイメージで、口紅は紅色を選びました。ピンクって柄でもないし、茶色じゃ元の唇と同じ色なので。。。眉毛も美容院でカットしてもらい、紙も綺麗に上げてもらいました。


それでも、努力したけど、笑う人がいて。。。やっぱり何をしても無駄なんだと思い、暗い気持ちで待ち合わせの場所へ行きました。



待ち合わせの場所には、私より少し背の高い、太った男性がいました。

その人がMさんだと、直感的に分かりました。


「綾香さんですね、初めまして」

「はじめまして」


Mさんは、私の顔を見ても、チャットや電話と同じように接してくれました。



二人で繁華街を抜けた先にあるホテル(Mさんが予約していたホテル)のレストランへ行きました。Mさんは「部屋に荷物を置こうか」と言って、私を優しく持て成してくれました。


今まで食べた事の無いフランス料理。

食べ方や作法を丁寧に教えてくれるMさん。

私の目を見て、にこやかに笑いかけながら話してくれるMさん。


これが、男女のクリスマスなんだ。。。



私は、好きな人とこんなクリスマスを迎えたかったけど、Mさんの事は・・・人としては好きでも、恋愛とは違いました。本当に失礼で身の程知らずだと分かっているけど、Mさんが私の理想の顔じゃない事を、会って確認してしまって、残念な気持ちになってました。


でも、とりあえずの寂しさは紛れるし、気持ちなんか後から付いてくるよね。。。そう思っていたから、Mさんとの時間を出来るだけ楽しもうと思いました。