Romantique No.619 『POP SONGの魔法を信じるかい? Ⅲ 】。 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

 

                    Adieu Romantique No.619

             『POP SONGの魔法を信じるかい? Ⅲ 』

                      

さて、と。前々回から書き始めた『POP SONGの魔法を信じるかい?』の続き。夏の終わりから徐々に秋の気配を感じるような、ごく短い今だけの季節に似合うロマンティックな音楽を、ということで。


今回は僕が考える「POP SONG」と同じように、このブログシリーズのメイン画像に貼った『奥さまは魔女』『かわいい魔女ジニー』と同じくPOPな感覚で制作されたアメリカのアニメーションのことから。


そういったアニメーションはもちろんPOPで可愛いんだけど、どちらかと言えば「キッチュ」という言葉の方がぴったり嵌まる(キッチュに関しては語感から感じる、それぞれのイメージに任せるね。正解はないから)ディズニーのアニメーションとはちょっと違っていて(と、言いながら。魔法繋がりで今回のメイン画像にはティンカーベルを。僕はディズニーのアニメーション、例えば「ピーターパン」「わんわん物語」「ダンボ」「ファンタジア」も大好きなんだけど)、ストーリーがあるようでないような。主人公に感情移入はできないし、ディズニーのような感動がない代わりに、感覚的に持っていかれる、そんな世界も大好きなのだなもぐもぐ


さて。そんなPOPでキッチュなアニメーション、つまりカートゥーン【cartoonと呼ばれる子供向けのスラプスティックなアニメーションを代表したのがウィリアム・ハンナジョセフ・バーベラ(まるでPOP SONGのソング・ライター・チームみたいな感じだよね)制作した作品群。 日本では今でも人気がある「トムとジェリー」に代表される、捕食する側と捕食される側との終わりなき永遠の追いかけっこがスピーディーかつユーモラスに繰り広げられていくような、意味があるようでまるで意味のない世界。

そしてその後、二人はハンナ・バーベラ・プロダクションを創設して1950~1970年代の初め頃にかけてアニメーションの世界を精力的に更新していった訳だ。


📺️まずは「POP SONG」を歌って演奏するバンドが正義のために戦うアニメーション『スーパー・スリー』【The Impossibles】。主人公は「スーパー・スリー」(アメリカではザ・インポッシブルズ)というバンドを組む3人のメンバー。バンドのリーダーであり、ギター担当のスイスイのフリー身体が液体でできているので、水道の蛇口から水道管を通って、別の蛇口へ移動することができる(まるで『ターミネーター2』T-1000型のように)。無限に自身の分身を増やすことができる(どうゆう原理なんだ?)、ギター担当のバラバラのマイト。そして脚や手に強力なバネが仕込まれていて「ボヨヨーン」となることができる、その名もコイルは左利きのギタリスト。ん、なんだ?全員がギター担当じゃないか、とかそんなことはどうでもよくって。ここには子供たちの心をワクワクさせる魔法がかけられていた。

📺️バンドのテーマ曲が流れるオープニングを。



📺️『ピンク・パンサー』ブレイク・エドワーズが1965年に撮った、トニー・カーティスジャック・レモン主演の映画『グレートレース』を下敷きに、個性的なカスタム・カーでのレースが繰り広げられるウルトラ・ポップなアニメーション『チキチキマシーン猛レース』【Wacky Races】。いろんな反則や姑息な手段で毎回、カーレースの優勝を狙うヒール役のブラック魔王とワンコのケンケンが結局は主役だったところが秀逸。


ドキドキ笑い方がユニークなケンケンは他のキャラクターよりも人気が高い愛されキャラだった。
ドキドキ「ゼロゼロマシン」を操縦するブラック魔王ケンケン
ドキドキミルクちゃんが運転するプシーキャット」。この「かわいいお色気感」は日本のタツノコ・プロが制作した『タイムボカン』シリーズに影響を与えてると思うな。
ドキドキ個性的な「ガンセキオープン」。ドライバーは、どっちがどっちだか分かんないけどタメゴロートンキチだ。
📺️そのオープニングを。


📺️『ドラ猫大将』【Top Cat】は、ニューヨーク(なのかな?)のダウンタウンで暮らす野良ニャンコたちの、ほのぼのとした物語。
ドキドキ個性的なニャンコたちのラインナップ。
📺️オープニングをオリジナル版で。

📺️『原始家族フリントストーン』【The Flintstones】もスピーディーと言うよりは、ほのぼのレイクのキャラクターにも使われていただけあって、ほのぼのしている。

📺️『宇宙家族ジェットソン』【The Jetsons】。Oh!何てPOPでキッチュなんだろう。現代でもこの感じは十分に魅力的だと思うなうーん

📺️オープニングをアメリカン・オリジナル・バージョンで。


イントロダクションが長くなってしまった。そろそろ「POP SONG」の方を。


音譜スティーヴィー・ワンダー【Stevie Wonder】の、1972年リリースの傑作アルバム『トーキング・ブック』【Talking Book】からのシングル曲。輝くような愛に満ち溢れた『サンシャイン』【You Are The Sunshine Of My Life】『迷信』【Supersition】を。そう。1970年代から80年代にかけてのスティーヴィーは紛れもなく天才だった。




音譜スティーヴィーが1976年にリリースした『キー・オブ・ライフ』【Sogs In The Key Of Life】はPOP SONGの万華鏡のようなアルバム。アナログは2枚組+4曲入りの7inchシングル盤付き。全21曲。とにかくそのボリュームと密度が圧倒的だった(その分値段も5000円と高かったよなえー?)。
お金のない高校生の僕にとってそのアルバムは簡単には買えなかったし、中学生の頃からずっと欲しかったビートルズの2枚組『ホワイト・アルバム』とどちらを買うべきか迷いに迷った末に結局ビートルズを選び(「ホワイト・アルバム」は4000円だったような)、スティーヴィーの方はアルバムに収められていた、このシングル『愛するデューク』【Sir Duke】で取り敢えず我慢することに(当然、後になってアルバムも買った)。うん。人と音楽を結ぶ個人にささやかな歴史あり、だ。

音譜さらにスティーヴィーが1984年にリリースしたシングル曲『心の愛』【I Just Called To Say I Love You】。鬼才メル・ブルックスのファミリーのひとり、ジーン・ワイルダーが撮った映画『ウーマン・イン・レッド』の主題歌に使用されて大ヒット。僕自身も初めて聴いた瞬間から既にスタンダードになることを約束されている曲のような気がしたうーん


音譜POPでキッチュなアニメーションからの流れにぴったりなPOP SONGを(もちろん僕がそう思ってるだけだケド)。マーク・ボランが率いたバンド、T・REXの1972年リリースのアルバム『ザ・スライダー』【The Slider】からオープニングを飾ったシングル曲『メタル・グウルー』【Metal Guru】(日本盤シングルではグルーじゃなくグウルーに)『テレグラム・サム』【Telegram Sam】を。



音譜同じく1972年にリリースされたT・REXの、Hey, Hey, HeyなPOP SONG『イージー・アクション』【Solid Gold Easy Action】。ほんとPOPでカッコいいよなぁ笑い泣き


音譜カッコいいと言えば。女性ロッカーの代表と言うか、全身を皮のボンデージなライダースーツ(フランスの幻想文学の巨人ピエール・ド・マンディアルグが書いた『オートバイ』を原作にした1968年の映画『あの胸にもう一度』マリアンヌ・フェイスフルの影響を受けているよね)を着こなしてベースを弾きまくるスージー・クアトロ【Suzi Quatro】の1973年のヒット・シングル『キャン・ザ・キャン』【Can The Can】。何せコピーが「背徳のサディスティック・ロック !! 」って書いてあるんだから、ただ事じゃないアセアセ

音譜同じくスージーQことスージー・クアトロの1974年のヒット曲『ワイルド・ワン』【The Wild One】


音譜それじゃぁ。ローリング・ストーンズのマネージャー、アンドリュー・ルーグ・オールダムに見い出された、そのマリアンヌ・フェイスフル【Marianne Faithfull】の曲も。ミック・ジャガーキース・リチャーズによって書かれた1964年のデビュー・シングル『涙あふれて』【As Tears Go By】(翌年、ストーンズがセルフ・カヴァーして永遠の名曲に)。因みに。この後、マリアンヌはミックの彼女になり、POP Cultureのミューズになっていく。

📷️お嬢様で清楚な雰囲気を醸し出していたデビュー当時のマリアンヌのポートレイトも。



🎦これはPOP SONG扱いにはできないけど。映画史における断層、ジャン=リュック・ゴダールが1966年に撮ったPOPな映画(そう60年代のゴダールの映画はある意味においてPOPなのだ)『メイド・イン・U.S.A』の劇中、マリアンヌ・フェイスフルがアカペラで『As Tears Go By』を歌うシーンを。うん。とても静かだけど、そのイノセンスに胸がザワザワ💓する。


📷️『あの胸にもう一度』の頃のマリアンヌ


音譜この曲はPOP SONGじゃないけどPOP CultureのひとつとしてUPしておくね。マリアンヌが危うくなり始めた1969年にリリースされた曲『シスター・モーフィン』【Sister Morphine】「モーフィン」とはモルヒネのこと。この後、ミックとは別れ、彼女はドラッグやアルコールに溺れて音楽活動ができない状態に。その後、長い時を経て彼女は1979年のアルバム『ブロークン・イングリッシュ』で見事な再生を果たした。だけどもうそこには。デビュー当時の、あの天使のような歌声はなかった(その後のマリアンヌの軌跡を否定している訳じゃない)。


音譜同じくPOP Culture繋がりで。アンディ・ウォーホルがプロデュースしたことになっているヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファースト・アルバムでその存在を刻印したニコ【Nico】の1967年にリリースされたソロ・アルバム『チェルシー・ガール』【Chelsea Girl】からタイトル曲を。


音譜ビートルズが設立した「Apple Records」からの最初のシングル曲となった1968年リリースのメリー・ホプキン【Mary Hopkin】『悲しき天使』【Those Were The Days】。ロシアの古いフォーク・ミュージックをポール・マッカートニーがプロデュースした。


音譜オランダのバンド、ザ・ショッキング・ブルー【The Shocking Blue】の、マリスカ・ヴェレスの歌声が魅力的な『ヴィーナス』【Venus】は1969年にリリースされ、全米チャートで1位に。80年代にもバナナラマがカヴァーして大ヒットを記録した名曲。


音譜コリン・ブランストーンロッド・アージェントが中心になり活動したゾンビーズ【The Zombies】の1968年の傑作アルバム『Odessey And Oracle』から生まれた名曲『ふたりのシーズン』【Time Of The Season】。因みにアルバム・カヴァーのサイケデリックなデザインはジェールズ・デベラ



音譜日本のロックの源流、はっぴいえんどの世界を構築した松本隆が影響を受け、荒井由実のデビュー・アルバム『ひこうき雲』にも影響を与えたイギリスのバンド、プロコル・ハルム【Procol Harum】の1967年のデビュー曲『青い影』【A Whiter Shade Of Pale】



音譜同じくイギリスのバンド、ムーディー・ブルース【The Moody Blues】のヒット曲『サテンの夜』【Night In White Satin】。アメリカのPOP SONGとはまた違った魅力があるよね。因みにバンドには後にポール・マッカートニー&ウィングスの重要なメンバーになるデニー・レインイエスのメンバーになるパトリック・モラーツが在籍していた。


音譜所謂プログレのバンド、イエスの黄金期の始まりを告げる、1971年のアルバム『こわれもの』【Fragile】からシングル・カットされた『ラウンドアバウト』【Round About】。メンバーはジョン・アンダーソンスティーヴ・ハウクリス・スクワイアビル・ブラッフォード(当時はそう表記されていた)、リック・ウェイクマン


音譜雰囲気は変わって。ザ・ニュー・シーカーズ【The New Seekers】の大ヒット・ソング『愛するハーモニー』【I’d  Light To Teach The World To Sing】Love & Peaceな感じがダイレクトに伝わってきたよね。


音譜『愛するハーモニー』と同じような世界を歌ったのが(なのかな?)、パニック映画の走り『ポセイドン・アドベンチャー』の劇中、主演のひとりキャロル・リンレーが歌った(実際はモーリン・マクガヴァンが歌った)、『モーニング・アフター』【Morning After】


音譜サウンド・フェチの二人、ドナルド・フェイゲンウォルター・ベッカーを中心に活動を始めたスティーリー・ダン【Steely Dan】の、1972年に制作・リリースされたデビュー・アルバム『Can't Buy A Thrill』からシングル・カットされた曲『Do It Again』を。バンドには後にドゥービー・ブラザーズの重要なメンバーになるジェフ・バクスターが居たけど、このアルバム制作の時点でサウンド・フェチの二人は他のスタジオ・ミュージシャンたちを呼び寄せたため、バンドは既に崩壊寸前に。


音譜世の中よりも、一足早くブルー・アイド・ソウルを体現したダリル・ホール&ジョン・オーツ【Daryl Hall & John Oates】の、1976年のヒット曲『微笑んでよサラ』【Sara Smile】


音譜オーリアンズ【Orleans】のヒット曲『Dance With Me』を。

音譜オーリアンズのリーダーでギタリストだったジョン・ホール【John Hall】の、1979年のソロ・アルバム『Power』から輝くような曲『Home At Last』を。自分で言うのも何だけど、ほんとノスタルジーが擽られるよな。


音譜ウェスト・コースト系のPOP SONGをいくつか。プレイヤー【Player】のヒット曲『Baby Come Back』。とにかく、いい曲だと思うなもぐもぐ



音譜もともとウェスト・コーストのバンド、ポコのメンバーであり、イーグルスにも参加していたこともある(いずれもランディ・マイズナーとの入れ替わりで)ティモシー・B・シュミット【Timothy B. Schmit】がソロで歌った、ザ・タイムス『渚の誓い』(1963)のカヴァー『ソー・マッチ・イン・ラヴ』【So Much In Love】。魔法がかけられた素敵なPOP SONGだよね。


音譜そして最後は。ウェスト・コースト界隈の中心のひとり、J.D.サウザー【John David Souuher】がソング・ライティングして歌った、とてもロマンティークな名曲『ユア・オンリー・ロンリー』【You’re Only Lonly】で締め括ろう。


今回は。最初のスティーヴィー・ワンダーYou Are The Sunshine Of My Lifeから最後のJ.D.サウザー『You're Only Lonly』まで。何だかまとまりがないような気がしつつ、だけどそれでも一応、自身のイメージの連鎖に従いながら何となく流れはきちんとあるような。まぁ、これはこれでいいかということで。


それじゃぁ、また

アデュー・ロマンティークニコ