Adieu Romantique No.612 『夏をめぐる、ささやかな冒険 Ⅱ 』。 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

 

                     Adieu Romantique No.612

                 『夏をめぐる、ささやかな冒険 Ⅱ 

                      

前回に書いた『夏をめぐる、ささやかな冒険』の続き。とても暑くて🥵何も考えられないときには思考よりも感覚優先で。「朝であれ昼であれ、夜であれ。僕が普段聴いたり、観たりしている音楽やアートを(今回は映画も)感じるまま自由に並べました」程度に。今回も夏をめぐるささやかな冒険に出掛けてみようと思う。


音譜最初の音楽はMPB(エメ・ぺー・べー)【Música Popular Brasileiraの至宝、ミルトン・ナシメント【Milton Nascimento】「A&M」系列の音楽レーベル「CTI」【Creed Taylor Issue】からリリースしたアルバム『COURAGE』のオープニング曲『Bridges』。陽光が射し込んでくる、夏の目覚めに相応しい音楽。それにしても何て瑞々しい音楽なのか、とにやり



🎨天才パブロ・ピカソ【Pablo Picasso】(1881~1973)が描いた「夏」


🎨1922年に描かれた新古典主義時代の傑作のひとつ『海辺を走る二人の女』【Deux Femmes courant sur la place】。自由な空気と生へのエネルギーが溢れかえっていて力強く、なのに柔らかい。



音譜ブラジルのギタリスト、パウロ・ベリナティ【Paulo Bellinati】のアルバム『Garoto』全曲を。とても自由な感じがする演奏はどこまでも心地よくって。柔らかな風を運んできてくれる。



 🎨この音楽にぴったりな大好きな絵を。イギリスの海辺の街ブライトン(映画『さらば青春の光』でMods vs Rockersの闘いの舞台となったことも)で活動する女性アーティスト、キャスリン・マシューズ【Kathryn Matthews】。女性ならではの感受性に溢れた音楽的な風景画はとにかく色彩が素晴らしくって。しばらく眺めていると。どこからともなく音楽が聞こえてきて、絵の中に入り込んでしまいたいと思えるほど。





音譜エヴリシング・バット・ザ・ガール結成前にトレーシー・ソーン【Tracey Thorn】が1983年にイギリスの音楽レーベル「Cherry Red Records」からリリースしたソロ・アルバム『遠い渚』【A Distant Shore】から『Simply Couldn't Care』海辺で拾い集めた貝殻のように、いつまでも大切にしたい、そんな音楽。

音譜同じアルバムから。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの(アンディ・ウォーホルの思い付きからルー・リードイーディ・セジウィックのために書くことになり、ニコが歌った)曲『ファム・ファタール』【Femme Fatale】のカヴァーを。


音譜アルゼンチンの男女デュオ、Avepez , Rosario Ortegaの曲『El Golpe』。とにかくロザリオの歌声がCute。


🎦夏の映画も。ゴダールトリュフォーらよりも年長の、ヌーヴェル・ヴァーグの映画作家エリック・ロメール【Eric Rohmer】が撮った「何も起こらない」映画(それがロメールの映画だということ)『海辺のポーリーヌ』【Pauline à la plage】(1983年)。格言シリーズの中の「言葉多きものは災いの元」ドラクロワの言葉より。そう。喋り過ぎはよくないのだなえー?自戒を込めて)。海沿いの避暑地を舞台に15歳の少女ポーリーヌのひと夏の恋を描いた作品。主演はアマンダ・ラングレアリエル・ドンバールパスカル・グレゴリー

 🎦雰囲気だけだけど。『海辺のポーリーヌ』のワン・シーンを。


🎦同じくロメール1990年から撮り始めた「四季の物語」シリーズは、フランスの美しい四季を背景に、(まるで音楽のような)フランス語の(何気ないけど)美しい会話が奏でられる。その3作目、『夏物語』【Conte d'été 】(1996年)も、何も起こらない物語だけど、いつまでも忘れられない映画。(そう。ドラマチックであることだけが映画じゃないし人生ではない、というような)主演はアマンダ・ラングレメルビル・プポーグウェナエル・シモンロメールの映画には有名な俳優はほとんど出演していない。

🎦そのTrailerを。


音譜「何も起こらない映画」には「何も起こらない音楽」を。日本が誇るミニマル・アコースティック・ギタリスト、伊藤ゴローのソロ・ユニット、ムーズ・ヒル【Moose Hill】のアルバム『Wolf Song』から『Little Town North』
 


音譜マディソン・カニングハム【Madison Conningham】のアルバム『Who Are You Now』から『Song In My Head』を。シンプルでイノセントな女性たちの歌はいつだって魅力的に届いてくる。


音譜この人の音楽もそう。リアナ・フローレス【Liana Flores】の素敵なアルバム『Flower Of The Soul』から『Hello Again』


🎨南米コロンビアの女性アーティスト、アレッハンドラ・ヘルナンデス【Alejandra Hernandez】が描いた、自由で涼しげな絵(アウトサイダー・アート的な感じも)。とにかく可愛い。




音譜フラミンゴでもアヒルでもなくペンギンの音楽を。1979年にブライアン・イーノの環境音楽のレーベル「オブスキュア」からアルバム・デビューし、その後、ポスト・ニューウェーヴ的に迎え入れられたサイモン・ジェフス率いるペンギン・カフェ・オーケストラのセカンドアルバムから『Air a Danser』を。跳ねる感じがとても可愛らしいCOOL MUSIC。


音譜ソング・ライティングに才能を感じるシドニー・ギッシュ【Sidney Gish】POP ARTなアルバム『ED BUYS HOUSES』から『Honecoming Serf』


🎦自らがサーファーであり、数多くのサーフィン映画を撮ってきたトーマス・キャンベルの2005年の作品『スプラウト』【Sprout】から映画のシーンに合わせたスプラウト・ハウス・バンド(メンバーがジャック・ジョンソンマニー・マークトミー・ゲレロアダム・トポルと超豪華)による曲『Spanish Flowers』を。


音譜それじゃあ。プロのスケーターでもあったトミー・ゲレロ【Tommy Guerrero】のアルバム『Loose Grooves & Bastard Blues』から『B.W.s Blues』


音譜クルアンビンの音楽meets 60'sみたいな感じがする、MRCYのアルバム『Volume 1』から『California』


音譜パチーマン【Pachyman】の、エレピの音色が心地いいレゲエ/DUB『Sunset Sound』からタイトル曲を。


音譜エレピと言えば70年代後半から80年代にかけて一世を風靡したフェンダーローズでしょ、という訳で。ハービー・ハンコック【Herbie Hancock】の1980年のアルバム『Mr.Hands』から『4 A.M』。ベースはジャコ・パストリアス、ドラムはハーヴィー・メイスン。ジャコのフレットレス・ベースがスリリングに絡みながらフェンダーローズの音色はどこまでも涼しい。


🎨アイルランド出身のアーティスト、パトリック・プロックター【Patrick Procktor】(1936~2003)が描いた涼しいDrawingを。



🎨彼の作品The Gardian Readers」は、エルトン・ジョンの1976年のアルバム『蒼い肖像』【Blue Moves】に使われた。
音譜じゃぁ、(エルトン・ジョンのキャリアの中ではあまり注目されない)このアルバムから『Between Seventeen and Twenty』を。


音譜ウワノソラ '67のアルバム『Portrait in Rockn Roll 2』から。夏の大空へ駆け昇っていきたくなるような曲『夏のエコー』


🎨エリザベス・マクブリエン【Erisabeth Mcbrien】(1988~)の、少々Strangeな夏の絵。





音譜トレーシー・ソーンと同じく、「Cherry Red Records」から1983年にリリースされたジェーン【Jane】ことJane & Bartonが紡いだ眩くメランコリックな世界『It's A Fine Day』


🎨この音楽にぴったりな。ノルウェーのアーティスト、トル・アーネ・モーン【Tor Arne Moen】(1966~)が描いた絵を。

🎨ボー・バートレット【Bo Bartlett】(1955~)のGirlyでノスタルジックな不思議な絵。





音譜ドイツのミニマル・シューゲイザー・エレクトロニカ(何じゃ、それぶー)。ウルリッヒ・シュナウス【Ulrich Schnauss】の2001年のアルバム『Far Away Trains Passing By』から『…Passing By』。フワフワした浮遊感のあるサウンドが「ここではない何処か」へ連れて行ってくれる。



🎨カナダのアーティスト、アレックス・コルヴィル【Alex Golville】(1920~)が描いた、シュルレアリスティックな奇妙な夏。「気配」のような、冷たいエロティシズムが漂っている。

 🎨ふたりの美女が双眼鏡越しに見つめ合ってる姿を想像すると(そういう風に並べた訳だけど)何だかエロティックだよね。
 


音譜ドイツのケルンで活動する男女ユニット、ドナ・レジーナ【Donna Regina】の、2003年にリリースされたアルバム『Late』からタイトル曲を。


🎨パトリック・パケット【Patrick Puckett】(1979~)の、夕焼けに照らされているような、ちょっぴり翳りのある夏の絵。




音譜トラックメイカー、DJとして活動するドリアン【Drian】の2013年のアルバム『Midori』から『Lost Seasons』。日本人がこういったリゾート・ミュージック擬似楽園的な音楽のクリエイティヴに優れているのは(単なる僕の主観に過ぎないけれど)、何処かに細野晴臣の影響があるからじゃないのかなうーんと思ったり。


音譜セレブ感があって少しワガママな、都会の女の子の夏を歌ったピチカート・ファイヴの99年のEP『nonstop to tokyo e.p.』から『ルーム・サーヴィス』。こういう歌詞を書ける小西康陽のセンスと、その歌詞を歌える野宮真貴のセンスによる、とてもCoolな曲。


🎨巨匠という言葉がまったく似合わない現代アートの巨匠、デヴィッド・ホックニー【David Hockney】が描いた、「夏のお昼寝」5態。





ついでに(失礼!)。「夏のひとり遊び」4態も。

🎨ポーランドのアーティスト、イゴール・モリッツ【Igor Moritz】(1996~)が描いた作品。
🎨イギリスのトリスタン・ピゴット【Tristan Pigott】の作品。先の絵と同じ人がモデルなのかなぁうーん
🎨アレックス・グロス【Alex Gloss】(1968~)の作品。いろんな妄想で遊んでいる感じがするよね。
🎨トラヴィス・コリンソン【Travis Collinson】が描いた作品。特に何かをしている訳ではなさそうだけど。

音譜90年代に一世を風靡した「渋谷系」に括られる松田岳二のソロ・ユニット、キュビズモ・グラフィコ【Cubismo Grafico】のアルバム『TOUT ! 』から『Fairytale Of Escape』。アルバム・カヴァーにはサム・ハスキンスのスタイリッシュでCuteな写真が使用された。


音譜ブラジル新世代のSSW、ナンナ・ミラーノ【Nanná Millanoのアルバム『Can't Translate Saudade』から『Olaculo』。グラフィカルなMVがとってもスタイリッシュ。


音譜チェット・ベイカーをちょっぴり意識しているような感じもするポップなスウィングを。ノルウェー出身のソンドレ・ラルケ【Sondre Lerche】&The Faces Down Quartetの2006年のアルバム『Duper Sessions』から『Everyone's Rooting For You』


音譜最後は。プロデューサー兼トランペット奏者マット・ブロック【Matt Block】の、チェット・ベイカーを意識しているようなアルバム・カヴァーの『Strange Harbors』から。ボサノヴァ・テイストな曲『Goodbye』ft.Morton Block , Martina Da Silvaで夏の1日を締め括ろう。


イメージに任せて少し欲張り過ぎたと思いつつ。「夏をめぐる、ささやかな冒険」はもうしばらく続きそう(他人事かぁーおーっ!)
        

それじゃぁ、また

アデュー・ロマンティークニコ