理想的な「Boy Meets Girl」の物語とも言うべき映画、ロバート・マリガンがゲイリー・グライムスとジェニファー・オニールを主演に据えて、1971年に撮った『おもいでの夏』【Summer of '42】。ミシェル・ルグラン【Michel Legrand】のテーマ曲がノスタルジックでロマンティークな雰囲気を喚起させてくれる。
世の中には「Boy Meets Girl」だけではなく大人の「男性」と「女性」が出会う物語もたくさんある。だけど大人の「男性」と「女性」が出会う物語は、英語ではなくフランス語の方がよく似合う。『Un Homme Rencontre Une Femme』と。そんな大人の出会いの物語を代表するのは1966年にクロード・ルルーシュが撮ったフランス映画『男と女』【Un Homme et Une Femme】。出会う男女はジャン=ルイ・トランティニアン演じるジャン・ルイとアヌーク・エーメが演じるアンヌ。ドーヴィルの海辺で二人がデートをする場面では、彫刻家アルベルト・ジャコメッティの話がごく普通に交わされる。とてもフランスらしいし、大人の男と女の素敵な会話だと思えた。
イギリスの女性SSW、レイチェル・タッド【Rachael Dadd】の2014年のアルバム『We Resonate』から『I Am Your Home 』。カヴァー・アートがいい雰囲気を出しているよね。
夏の夕方の浜辺で。男の子と女の子がささやかな会話をしながら過ごす時間の、最高のBGMになるトレーシー・ソーン【Tracey Thorn】の曲『Small Town Girl』。ネオ・アコースティックな音楽を送り出した音楽レーベル「チェリー・レッド」から1982年にリリースされたソロ・アルバム『遠い渚』【A Distance Shore】から。
トレイシー・ソーンとエヴリシング・バット・ザ・ガール【Everything But The Girl】を結成する以前に「チェリー・レッド」から1983年にリリースされたベン・ワット【Ben Watt】のソロ・アルバム『North Marine Drive』からタイトル曲を(1980年代中頃にこのタイトルをまんまパクったアパレル・ブランドがあったような気がする)。先のトレイシーのアルバムと併せて聴きたい名盤である。
黒澤健のソロ・ユニット、soraが2003年にリリースしたエレクトロニカの名盤『re.sort』。初めて聴いた時の、その心地いい衝撃といったら。1980年代のテクノポップ以降のエレクトロな、こういうリゾート感って日本人にしか出せないんだよね(80年代なら、例えば細野晴臣を代表として、ウォーターメロンとかイノヤマランドとか、テストパターンとか)。曲はこのアルバムから『Pause』と『A Caminho Do Mar』を2曲続けて。
1990年代中頃にジョン・マッケンタイア率いるトータスやジム・オルークを中心にした「シカゴ音響系」(後にポスト・ロックに集約される)と呼ばれたザ・シー・アンド・ケイク【The Sea And Cake】の2000年リリースのアルバム『OUi』から、(矛盾してるけど)緩やかにスピード感がある曲『Afternoon Speaker』。
ハワイのSSW、リチャード・ナット【Richard Natto】の1980年のアルバム『Not Just Another Pretty Face』から。スティーヴン・ビショップの1978年の名盤『BISH』に収められていた『Bish's Hideaway』のカヴァーを。曲はもちろんいいし、リチャード・ナットのパフォーマンスもとてもいい感じに。
日本を代表するギタリスト&コンポーザーである伊藤ゴローのソロ・ユニット、ムーズ・ヒル【Moose Hill】の2001年のファースト・アルバム『Wolf Song』から。何て素敵な音楽なのだろう。ミニマルなのに(いや。だからこそ、なのかも)さまざまな表情があり、何度聴いても聴き飽きることがない。『Book Of Days』と『Little Town North』を2曲続けて。
1973年に元はっぴいえんどの細野晴臣、鈴木茂と、小坂忠のバックバンド、フォージョー・ハーフのメンバーだった松任谷正隆、林立夫によって「キャラメル・ママ」の名前で結成され、1970年代後半に自然消滅した、(バンドというより優れた個の音楽家、ミュージシャンの集合体)ティン・パン・アレー【Tin Pan Alley】の1975年のファースト・アルバム(キャラメル・ママ名義)から鈴木茂の『ソバカスの少女』ft.南佳孝を。アルバム・カヴァーは小林克也のMCが入った、とても素敵な彼らのベスト・アルバム『イエロー・マジック・カーニバル』(このタイトルは、同じくティン・パンのファースト・アルバムに収められていた曲のタイトルでもあり、後のYMOへと繋がるイメージがすでに細野さんの頭の中にあったと思うんだな)をUPした。