ロマンティークNo.0396 Light Mellowという、CITY POPの魔法⑧ | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

こんにちは。僕のブログ【アデュー・ロマンティーク】へ、ようこそ。

 

最近、ずっと書いてきたシリーズ記事『Light Mellowという、CITY POPの魔法』。そのシリーズの8回目となる今回はシリーズ最終回。

 

このシリーズでは、CITY POPという切り口で、結構な数のアルバムと曲をUPしてきた。かなり有名なものからそうでないものまで。手前味噌だけど、季節的にもちょうどいい音楽をセレクトできたんじゃないかと思っている。そして最終回の今回は、今までにセレクトしきれなかったアルバムや曲を補完しつつ、CITY POPが最もCITY POPらしかった70~80年代限定の音楽(今、流行しているCITY POPとは厳密に言えば、その時代特有のソリッドでタイトなサウンド・プロダクションのものを指しているはず)を超えてきた、新しいCITY POPをコンパイルしていこうと思う。

 

音譜まずはCITY POPの定番。岩﨑元是 & Windyの87年のセカンド・アルバム『From South Avenue』から。キラキラした眩しいサウンドに気持ちも晴れやかに。プロデュースは井上鑑。雰囲気のあるカヴァー・アートは佐々木悟郎(ペーター佐藤っぽい、かな)。やまがたすみこがコーラスで参加している他、何と大好きなイギリスのジャズ・ロック系グループ「ブランドX」のベーシスト、ジョン・ギブリンが参加している。

音譜アルバムのオープニングを飾った『胸いっぱいのマーガレット』。

音譜『まるで天使のように』。

音譜東レのCMに使われた、デビュー・シングル『夏の翼』。

 
さらにCITY POPの定番が続く。
 
音譜ショーグンやAB'sで活躍したギタリスト、松下誠の81年リリースのCITY POP名盤『First Light』からタイトル曲を。
 

 
音譜矢沢永吉の『時間よ止まれ』は78年夏の資生堂キャンペーン・ソング。永ちゃんの曲は全体的に歌謡曲っぽさが強いけれど、『チャイナタウン』や『I Say Good-bye , So Good-bye』など、CITY POP的な雰囲気を持つ曲も多い。
 

 
音譜大橋純子&美乃家セントラル・ステイションの『シンプル・ラブ』。メンバーには、後にJAPANのワールドツアー・メンバーになり、一風堂を結成するギタリストの土屋昌巳が参加していた。
 

 
音譜間宮貴子のCITY POP名盤『Love Trip』からタイトル曲を。
 

 
音譜ちょっぴりシュガーベイブな感じがする稲村一志と第一巻第百章の77年のアルバム『Free Fright』から『淋しがりや』を。
 

 
ここからは新しいCITY POPを。70~80年代のオリジナルCITY POPとはサウンドも、ニュアンスや雰囲気も随分、違っているので(どっちが「いい」とか「悪い」とかではない)頭を少し切り替えて。僕自身はもちろん新しいCITY POPも大好きなんだけど、70~80年代のオリジナルCITY POPと共にある、個人的な「あの夏の想い出」は湧き上がってはこないんだよなうーん
 

音譜まぁ、僕の「あの夏の想い出」はいいとして。まずはピチカート・ファイヴのこと。CITY POP的にはデビュー・アルバム『カップルズ』が一推し。84年にリリースされたアルバムだけど、所謂、CITY POPとは一線を画し、音楽レーベル「A&M」のサウンドやバート・バカラックなどの良質なアメリカのポップス(ソフトロックとも)を日本の音楽として再生した、極めて趣味性の高い音楽でもある(そういうものを切り出せるところが小西康陽の優れた才能なのだ)そう。古くて新しい、とてもロマンティークなCITY POP。ボーカルは野宮真貴の前の初代ボーカリスト、佐々木麻美子。フワフワしたボーカルはそのソフティスケイトされたサウンドにぴったり。曲は…と続けたかったけど、1曲もUPされていなかったので諦めて、素敵なアルバム・カヴァーを眺めるだけにしよう。

 
音譜でも、やっぱり悔しいので。ピチカート・ファイヴの、85年にリリースされたデビュー12inchシングル『オードリィ・ヘプバーン・コンプレックス』を。小西康陽曰く「僕の趣味にすぎないが、間違ってもオードリー・ヘップバーンとは書きたくない。何か下品で彼女の雰囲気ではない。オウドリィは気持ち悪く、オードリーは馬鹿げている。やはりオードリィ・ヘプバーン。パリの恋人にはこれが相応しい」と。さらには。その中で、ピチカート・ファイブではなくピチカート・ファイヴと表記されているかどうか、ヴィム・ベンダースではなく、ヴィム・ヴェンダースと表記されているかどうかということについても言及している。小西康陽らしい拘りだと思う。そう。そしてその流れで言うなら、(僕個人も)セルジュ・ゲーンズブールではなく、セルジュ・ゲンスブールと表記されているかどうか。シュールレアリズムではなく、シュルレアリスムと表記されているかどうか、そんなことに細心の注意を払っているぶー

 音譜さらにこの際、『Couples』と同じ頃の、同じ雰囲気がする貴重な音源を。細野晴臣が、立ち上げたレーベル「Non Standard」の、85年に開催された記念Liveでピチカート・ファイヴが演奏した小西康陽、作詞・作曲の『動物園の鰐』(このLiveの司会は細野さん自身だったそうな)と、戸川京子(もちろん、あの戸川純の妹のこと)の88年のアルバム『涙』に入っていた『動物園の鰐 Nobody In Town』と『動物園の鰐 Back In Town』を、イノセントなアルバム・カヴァー(ショートカットだと、当時のananのモデル、甲田益也子みたいだなうーん)と共に。
 
因みに。当時「Non Standard」からアルバムをリリースしていたフレンチ・ユニット、MIKADOの曲みたいになっているのが、面白い。
 

 

音譜90年代に「渋谷系」と呼ばれた音楽。野宮真貴が加入してからのピチカート・ファイヴは都市型のPOPという意味での、新しいCITY POPを次々に生み出してゆく。曲は有名な『東京は夜の七時』と、野宮真貴がピチカートに加入する前の90年にレコーディングされたシングル『Lover's Rock』を、レゲエの緩やかなリディムが都市の音楽としてロマンティークに響くMad Professor Mixヴァージョンで。

 

音譜コロナ禍ではアンチとも言える、夏のヴァカンスのために移動する歌『nonstop to tokyo』と、都市の中でのリゾート感が歌われる『ルームサーヴィス』を。

 

 
音譜オリジナル・ラブの91年のデビュー・シングル『Deep French Kiss』を。今、思うと「渋谷系」云々と言うよりも当時の最先端のCITY POPであり、Free Soulの雰囲気も醸し出していた。

 

 
音譜恩田晃やボアダムスのEYEと共に伝説のグループ、オーディオ・スポーツに参加していた竹村延和が93年に結成したスピリチュアル・ヴァイヴスのファースト・シングルから『Scheme Supreme』と『One Blue Moment』を。王道のCITY POPからの影響は受けていないかもしれないけれど、都市生活者のための優れた音楽であることには何ら変わりはない。

 

 

 
音譜元フリッパーズ・ギターという経歴はもはや不要かも。小山田圭吾のソロ・ユニット、コーネリアスの2017年のアルバム『Mellow Wave』から『あなたがいるなら』【If You're Here】。因みに作詞は元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎。
 

音譜もう1曲。97年リリースのシングル曲『Star Fruits Surf Rider』を。

 
音譜大沢伸一のソロ・ユニット、モンド・グロッソ【MONDO GROSSO】の2017年のアルバム『何度でも新しく生まれる』から『惑星タントラ』。乃木坂46の齋藤飛鳥とのコラボレーション曲(このアルバムでは齋藤飛鳥以外に満島ひかり、UA、birdらが参加)。作詞はティカ・aこと、相対性理論のやくしまるえつこ。齋藤飛鳥のキャラがよく出て、浮遊感がいい感じに。

因みに。大沢伸一がまだモンド・グロッソを結成する以前、彼と知り合い、何度か飲みに行ったことがある(彼はそんなこと忘れているだろう)。その頃、すでに彼の個性は際立っていて、前に出ようというエネルギーに溢れ、常に自分にとっての「カッコいい」ものを探しているようだった。そして数年後、そういった彼の思考はモンド・グロッソとして結実するのである。

音譜2003年にリリースされた中島美嘉の名曲『雪の華』をReggae Disco RockersによるFlower Mixで。レゲエの緩やかなリディムがぴったりと嵌ってるので、冬の歌だけど(ロマンティークはそのまま残しながら)夏仕様のCITY POPとして聴いておきたい。
 

 
音譜この緩さもまた新しいCITY POPだったと思う。スチャダラ・パーの『Crying Doobie Man』のPunch Mix。

 
音譜CITY POPやAORオタクの片寄明人が中心になり結成されたGREAT 3の95年のデビュー・アルバム『Richmondo High』から『サマーズ・ゴーン』を。
 

 

 
音譜CITY POPの申し子、クニモンド瀧口を中心としたグループ、流線形の2003年のデビュー・アルバムのタイトルは、まんま『CITY MUSIC』。曲はダンサブルな『恋のサイダー』と、まるでユーミンの(つまり松任谷正隆な)「Hong Kong Night Sight」のような『3号線』を。
 

 

 
音譜キリンジは堀込兄弟を中心に96年にデビューしたユニット。2000年のアルバム『3』から『エイリアンズ』。
 

音譜そして2017年の傑作アルバム『Cherish』から『Killer Tune Kills Me』feat.(韓国の女性シンガー&ラッパーの)Yon Yon。因みにアート・ワークは僕も大好きなヨハンナ・グッドマン。
 

 
音譜98年にデビューした辻村兄弟によるデュオ、キセルの2002年のアルバム『近未来』からタイトル曲を。緩くてフワフワしていて。この独特な世界がめちゃくちゃ好きなんだ。
 

 
音譜ceroの2018年のアルバム『Polly Life Multi Soul』から『魚の骨 鳥の羽根』。簡単にCITY POPと言ってしまうには躊躇がある音楽。恐ろしいまでにストイックに探求された、変てこなリズムのオン・パレードであり、誰にも似ていない唯一無二の音楽でもある。
 

 
音譜2013年のデビュー後、飛ぶ鳥を落とすほどの人気と勢いがあったサチモス【Suchmos】のセカンド・アルバム『The Kids』から『Stay Tune』を。YONCEのボーカルを軸に、ジャイルス・ピーターソンが87年に主催した「Acid Jazz Records」(ジャミロクワイもレーベル・アーティストだった)や、90年に主催した「Talkin' Loud」の音楽を再生したような、古くて新しい都会的な音楽は、(その時代の音楽をよく聴いてきた僕にとっても)面白いと思えた。因みに。現在は自らの音楽を探求するため(?)活動を休止している。

 

 
音譜JQことJeremy Quartusが中心となり結成されたナルバリッチ【Nulbarich】も、ブラック・ミュージックをベースにした音楽で、サチモスと歩調を合わせるように着実に人気を獲得してきた。2018年のアルバム『H.O.T』から『It's Who We Are』。

 


音譜Never Young Beachの、2017年のメジャー・デビュー・アルバム『A Good Time』から『SURELY』。オーソドックスなバンド・サウンドが逆に新鮮。



音譜CITY POPの正しき後継者、Blue Peppersのデビュー・シングル『ずっと』(feat.佐々木詩織)。カヴァー写真はハワイの有名なデュオ、セシリオ&カポノのアルバムへのオマージュ。

 

📷ついでに、そのセシリオ&カポノの『Night Music』のアルバム・カヴァーを。完全にパクッて、いや、オマージュを捧げているよね。
 
CITY POPはRAPやインディー系の音などを取り込みながら、さらに新しく更新されていくのだ。
 
音譜北里彰久によるソロ・ユニット、アルフレッド・ビーチ・サンダル【Alfred Beach Sundal】とトラック・メイカーのSTUTSによるミニ・アルバムから『Horizon』。
 

 音譜逆にSTUTSのアルバムにAlfred Beach Sandalが参加した曲『Sail Away』。

 音譜STUTS×SIKK-O×鈴木真海子『Summer Situation』。


CITY POP meets RAP。CITY POPとRAPの親和性は高い。特に少々厳つめ、社会派の性急とも言えるRAPではなく、脱力系、或いはへなちょこ系のとてもセンシティヴなRAPは、そのサウンドがCITY POPのように爽やかで心地いいものが多く、さらにそのサウンドに乗っかる「オラオラ系」ではなく「手を繋ごう系」でもない等身大のリリックが、今という時代のリアリティをサラっと感じさせてくれるイヒ
 
音譜ゆるフワで、独特なオリジナリティを感じるEVISBEATSのシングルのA・B面『いい時間』と『ゆれる』〈meets 田我流〉。そして『夜風に吹かれて』〈meets Punch&Mighty〉の3曲を。こんな素敵な音楽を、夜風に吹かれて揺れながら聴いていると、とてもいい時間が過ごせるな。
 

 

 
 

 
音譜もう一度、STUTSを。『夜を使いはたして』feat.Punpee。


音譜ありのままで正直な、BASIの『これだけで十分なのに』。そう。それだけで十分だ。

音譜BASIの『愛のままに』feat.唾奇。

 
音譜とてもCOOLなSIRUPの『Mirror』は、現在進行形のCITY POP。韓国の女性シンガー&ラッパーのYon Yonが日本語と韓国語両方で絡んでくる感じがとてもエキセントリックでスリリング。カッコいい。

 

 音譜YonYonは好きだな。向井太一との『Period』。


音譜最後にもう一度、Evisbeatsの曲を。
『Again』feat.Chiyori。

 
CITY POPのシリーズ記事が無事に終了。CITY POPの枠組みを拡げて、かなりの数のアルバムや曲を紹介してきたつもりだけど、僕的にもたくさんのヌケや想い付かなかった曲がたくさんあると思ってるし、皆さんからも「あのミュージシャンの、あのアルバムについて何も語られていない」とか、「あの曲は何でUPされていないの?」とか、いろいろあることは承知しているけど、そこは大目に見ていただきたい。
 
そして8回に渡って書いてきた中で思うのは、CITY POPって一応、70~80年代特有のものであることを前提にしながらも、もともと明確なジャンル分けや線引きなんて何もなくて、ただサウンドの感じや雰囲気やムードみたいなもので感覚的に捉えられている音楽の総称であり(今回のシリーズ記事も僕自身の感覚で捉えた、僕自身が思うCITY POPを紹介してきたことになる)、日々、移り変わってゆくその時代時代の雰囲気や、その時々の音楽的な流行が反映された、広い意味でのPOP MUSICであり(そう考えるとほとんどのPOP MUSICはCITY MUSICだと言えるのかも知れないなぶー)、これからもどんどん進化し続けていく音楽なのかな、と思う。
 
まぁ、理屈は脇に置いておいて。CITY MUSICであってもなくっても。そして古いも新しいも関係なく、とにかく自分自身の好奇心にひっかかる素敵な音楽をもっとたくさん聴きたい、ただそれだけ。

つまりは「More Music , More Life !」ということ。
 
そして。CITY POPとはまったく関係ない話を最後に。前回の記事のイントロダクションで書いた、迷走中の僕のブログのこと。そして僕自身のこと。いろいろと考えた結果、今回から記事の更新を毎週1回にすることに決めた。ブログを始めて3ケ月は毎日、更新し、それ以後は1週間に2回の更新を続けてきたけれど、その間、OUT PUTばかりでIN PUTできないことへのストレスがあったり、記事を投稿した直後からすぐに次の記事のテーマを探しを始めるということをずっと繰り返していたので、常に何かに追いかけられているような感覚があった。そう。たかがブログなのに、「これじゃぁ、まずいな」と思った訳だえー?
 
そんなことで。まずは心に余裕を持つことから再始動したいと思う。その後のことはまたゆっくりと考えればいいか、と。記事の更新のペースは落とすけれど、記事の質は落とさないつもりだ(あくまでも自己評価で、だけどね)。
 
皆さんには。これからも変わらず僕のブログを読んでもらいたいと思うし(もちろん僕も皆さんのブログへお邪魔させてもらいますよーにやり)、「いいね」をポチッてもらえたり、気軽にコメントをいただけたらとても嬉しいです。よろしくお願いしまーすm(__)m。
 
それでは、また。アデュー・ロマンティークニコ