No.0382 『Light Mellowという、CITY POPの魔法②』。 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

こんにちは。僕のブログ【アデュー・ロマンティーク】へ、ようこそ。

 

前回に続いて、音楽バーの話から。コロナ前によく通ってた、(前回のイントロダクションで話したお店とはまた違う)音楽バーで。そのお店では基本、CITY POPがよく流れている。いや。その店のマスターはもともとアメリカのロックやソウルが好きで、その流れから繋がってきたCITY POPなのだけど。アナログ・レコードの量も膨大で、メジャーなものから、そうでないものまで。こじんまりしているお店だけど雰囲気はいいし、とにかく海外からのお客さんが多いので面白かった。雑居ビルの中にある、そんなバーを欧米の人たちはよく探し当ててやって来るなぁ、とつくづく思う。そしてCITY POPって、海外の人にもほんとうに人気があるのだと実感するのであった。

 

僕自身と言えば。初めてその店に行った時、壁にかかっていたジェシ・コリン・ヤングのアルバム・カヴァーを見つけて「ジェシ・コリン・ヤングが!」と小さく叫んだ覚えがある。自分が好きな音楽を音楽バーのマスターがリスペクトしていることが嬉しかったのだイヒ。と、そんな他愛ない話をイントロダクションにして、今回もCITY POPのアルバムを中心に、そこに収められた曲や、そのアルバムからじゃないけど、そのアルバムと関連するような音楽やらエピソードをいろいろと織り混ぜながら、CITY POPのLight Mellowな魅力を立体的に紹介できれば、と思っている。

 

シュガーベイブ『SONGS』

CITY POPの源流がはっぴいえんどなら、本流はシュガー・ベイブかな。そして唯一のこのアルバムはCITY POPの聖典に当たる。シュガー・ベイブ結成時のメンバーは山下達郎(vo、g、key、コーラス)、大貫妙子(vo、key、コーラス)、村松邦男(vo、g、コーラス)、鰐川己久男(b、コーラス)、野口明彦(ds)。活動期間は73~76年まで。その間、伊藤銀次や寺尾次郎(後に映画の翻訳家となり、ジャック・ドワイヨンの『ラ・ピラート』などの字幕スーパーを担当。現在、SSWや文筆家としても活躍する寺尾紗穂の父親である)、上原裕らが参加した。このアルバムがリリースされた1975年当時はほとんど話題にならず、まったく売れなかったけれど、メンバーの山下達郎や大貫妙子の名前が知られてゆくと共に徐々に聴かれるようになり、90年代を迎える頃には日本のロック史を代表する大名盤として認知されるようになった。プロデュースは山下達郎と大瀧詠一。大瀧詠一が設立したレーベル「ナイアガラ」からの第1弾アルバムだった。
 
後の山下達郎のソロ・アルバムと比較すると、粗削りな面もある。そして達郎自身もその出来栄えに決して満足していた訳ではない。だけど、逆にその分、とても若々しく新鮮な感じが溢れているし、もう取り戻すことができない特別な魅力があるのだと思っている。曲も粒揃いで、『Down Town』を始め、今ではCITY POP Classicsとして愛されている曲が多い。

 音譜アルバムのオープニングを飾った『Show』。シュガーベイブというバンドの幕開けとしても相応しい曲であり、(例えはあまり良くないけれど)ビートルズのアルバム『SGTペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のオープニングと同じく、ワクワクするような期待が拡がる曲。

音譜『Down Town』。「オレたちひょうきん族」のエンディング曲として、EPOのバージョンで有名になった。

音譜大貫妙子の透明感が際立つ名曲『いつも通り』。

音譜コーラス・ワークが素晴らしい『今日はなんだか』。

音譜とてもGoodなMelodyの曲『雨は手のひらにいっぱい』。

 

音譜バンド名はこの曲からの引用。ジェシ・コリン・ヤングが率いたヤングブラッズの『Sugar Babe』を。

音譜CITY POPの起源、はっぴいえんどが結成される前、細野晴臣の自宅に大瀧詠一が初めて遊びに行った時、レコード棚に『Get Together』を見つけた大瀧詠一が『Get Together!』と叫んだという。その『Get Together』(オリジナルはサンフランシスコのフラワー・ムーヴメントの中心だったクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスに在籍したディノ・ヴァレンテ)をヤングブラッズのカヴァー・ヴァージョンで。

音譜シュガー・ベイブの音楽的なお手本になったフィフス・アヴェニュー・バンドの『One Way Or The Other』。ピーター・ゴールウェイが中心になって結成されたフィフス・アヴェニュー・バンド唯一のアルバムは、69年当時のNYのグリニッジ・ヴィレッジの雰囲気を伝えてくれる名盤。

音譜フィフス・アヴェニュー・バンドの核、ピーター・ゴールウェイのソロ・アルバムから『Harmony Grits』を。

 
音譜音楽バーで。僕が「おぉ、ジェシ・コリン・ヤング!」と叫んだアルバム『On The Road』から名曲『Sunlight』を。

 
CITY POPからちょっと外れてきたので、元に戻ろう。
 

山下達郎『SPACY』

シュガーベイブ解散後、自らの音楽を見直すために、アメリカに赴き、ニューヨークとロスアンゼルスでジョン・トロペイ(g)やウィル・リー(b)といったスーパー・セッション・ミュージシャンと録音されたファースト・ソロ・アルバム『Circus Town』。恐らく業界内では評判が良かったと思うけれど、これもヒットには至らなかった。そして77年にリリースされたセカンド・ソロ・アルバムがこの『SPACY』。音楽的には。オープニングの『Love Space』から2曲目の『翼に乗せて』に繋がるワクワク感、高揚感は達郎の音楽への愛とリンクしているかのよう。今日に至る達郎の、とても達郎らしいアルバムであり、CITY POPの輝ける名盤でもある(だけどこのアルバムも当時は売れなかったのだえーん)。因みにアルバムのカヴァーアートはペーター佐藤。

音譜オープニングを飾った『Love Space』。

音譜航空会社のCMに使われてもおかしくない曲『翼に乗せて』。

音譜とてもキレのいい、Coolなのに微熱を帯びたGroovyなナンバー『Solid Slider』。

 

山下達郎『Go AHEAD!』

このアルバムが売れなかったら、もう裏方として音楽と関わっていくしかないと覚悟を決めた78年のアルバム。そういった切羽詰まった状況の中で制作・リリースされ、結果的にはそこそこのヒットを記録し、達郎にとって起死回生の一撃となった。きっかけはアルバムの中の曲『ボンバー』が大阪のディスコでかかりまくり(多分、サーファーディスコであった「葡萄屋」とかだろうな)、そのファンキーなサウンドが当時の大阪のサーファーの間で話題となったこと。つまり。達郎の音楽の魅力を発見し、達郎の人気に火をつけたのが大阪人だった訳である。僕自身もBIG NAMEになってからの達郎の大阪でのLIVEに行ったことがあるけれど、達郎と昔からの大阪のファンとの掛け合いがホットな感じて、何だか嬉しかったニコ

音譜達郎らしさ全開の『Let's Dance Baby』。

音譜『ボンバー』は、思わず手拍子を打ちたくなり、ステップを踏んでしまうご機嫌なナンバー。

音譜とてもロマンティークでMellowな名曲『潮騒』。

音譜「Paper Doll 僕らの恋はまるでおもちゃさ」。微熱を帯びたクールネス。

 

かなり前の朝日新聞で、「仕事力」という記事が掲載されていた。いろんな業種のプロフェッショナルたちが自らの仕事に対する考え方を語るシリーズで、山下達郎が5回ほど書いていた(今もその切り抜きを置いているぶー)。その中で達郎は、アルバムは1枚か2枚くらいならその人のもともと持っている才能やセンスでそれなりのクオリティがあるものを創ることができるけれど、その後も継続してそのクオリティを維持しつつ、さらにクオリティを高め続けていける者こそがプロフェッショナルなのだ、というようなことを書いていた(ちょと変換してるかも知れない)。シュガー・ベイブでのデビューから今日に至るまで40年以上に渡って常に第一線で活躍し、常に魅力的なアルバムをリリースし続けてきたPOPアルチザンならではの話だと思うにやり

 

大貫妙子『SUNSHOWER』

愛称ター坊。シュガーベイブ時代から多くのミュージシャンたちに可愛がられ、愛され続けてきたミューズの、77年にリリースされたセカンド・ソロ・アルバム。そのふわふわした透明感と聡明感には格別な味わいがある。

音譜オープニング曲『サマー・コネクション』。

音譜まさにCITY POPな『都会』。


 

竹内まりや『BEGINNING』

 長年、達郎との素晴らしいパートナー・シップを築いてきた竹内まりやの78年のデビュー・アルバム『Beginning』。ここで彼女はソングライティングをせず、シンガーに徹している。卓越したソングライターたちの曲の魅力と共に刻まれた彼女の歌声は永遠のサマー・ブリーズであり、その一瞬にしか表現することができない初々しさに満ちている。

 

 音譜オープニング曲『グッドバイ・サマーブリーズ』。作詞は竜真知子、曲は林哲司。

音譜伊勢丹の夏のCMのタイアップ曲『戻っておいで私の時間』。ソング・ライティングは加藤和彦と安井かずみ。

 音譜達郎の作詞・作曲による『夏の恋人』。何だか、とてもロマンティックに聴こえるんだなぁ。

 

ブレッド&バター

『LATE LATE SUMMER

湘南のイメージを代表する岩沢兄弟のユニット、ブレッド&バターの79年の傑作。バックは細野晴臣、鈴木茂、高橋幸宏、坂本龍一、佐藤博など錚々たるメンバー。プロフェッショナルたちの完璧なプロダクションが聴く人それぞれの「あの夏」のロマンティークとメランコリーを蘇らせてくれる。

音譜『タバコロード20』。因みに作詞は呉田軽穂(大女優グレタ・ガルボから付けられた松任谷由実の変名)。

音譜『渚に行こう』。

音譜『Summer Blue』。

音譜そして、このアルバムからではないけど。ブレッド&バターの名曲『ピンク・シャドウ』を。

 音譜そして。山下達郎のカヴァーによる『ピンク・シャドウ』で今回の記事を締め括ろう。山下達郎がブレイクする前の六本木ピット・インでのLiveアルバム『It’s A Poppin’ Time』での演奏。バックが松木恒秀(g)、岡沢章(b)、村上”ポンタ”秀一(ds)、坂本龍一(key)と豪華過ぎ。Groovyで、もうとにかく、めちゃくちゃカッコいい。

 

今回は山下達郎&サークル・オブ・フレンズな感じの記事になってしまったような気がするけど。まぁ、それだけ魅力的なのだから、仕方がないかな。

 

それではまた。

アデュー・ロマンティークニコ