ロマンティークNo.0196 『So What ? アートボイルド・ワンダーランド』。 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

1周年の僕のブログ【アデュー・ロマンティーク】へ、ようこそ。

 
前回、1周年記念として。過去に紹介した世界のアートをまとめ直して、総集編的に紹介する記事を『世界の向こう側と、アートボイルド・ワンダーランド』というタイトルで書いた。けれど、よくよく考えれば、無理やり感が強過ぎるし、かなり恥ずかしいタイトルだと思う。だから今回、予告した通り、その第2弾として、前回に紹介できなかった世界のアートを紹介するに当たっては、その恥ずかしさから逃れるために、タイトルを付け直させてもらった。余計に意味が分からくなった気もする。だけど『So What?』。だから『So What?』。

 

まぁ、いいや。内容は前回同様、きっちりと真面目に書こうと思っているのでタイトルは大目に見てもらおう。前回は、「ラファエル前派」から「象徴派」や「シュルレアリスム」など、100年からそれ以上前のアートについて書いたので、今回はそれ以降のアートの流れの中で、過去、僕のブログで紹介し、さらに特に僕にとってロマンティークだと思うアートを再度、ピックアップしたいと思う。
 
前回があまりにも画像が多過ぎた、という反省はあるものの、今回もかなり多い。だけど、そうせざるを得ないのだ。まぁ、画像なので興味のないところはスクロールでざぁーと飛ばして、興味のあるところだけでも観てもらえればと、思っている。
 
さて。プロローグはこの辺で。少しは語りたい蘊蓄に関しても、それぞれのアーティストのところで、ささやかなオマージュとして語ることにするので、どんどん先に進んでいくことにしよう。
 
まずは20世紀の芸術の巨人であり、芸術史における断層でもあるこの人から。
 
【アンディ・ウォーホル】
そのCOOLなイメージと、COOLな作品が人気の高さの秘密なんだろうな、と思う。そして。作品以外でも、そう。自らのイメージをセルフ・プロデュースしながら、自らが作品となり得た稀有なアーティストだとも言える。後にも先にも。そんなアーティストはいなかったんじゃないだろうか。現時点においては、その作品の価値は安定して恐ろしく高いが、60年代からウォーホルの作品の価値を評価してきたのはいったい誰なのか、と思うところもある。僕自身は圧倒的に面白いアーティストだとは思っているし、その作品がとても魅力的だと思っているが、ほんとうにウォーホルの作品にそこまで高い価値があるのか、いまいち、分からないのだ。結局のところ。すべてはウォーホルが放った言葉に集約しよう。『So What?』。それが答えではないだろうか。
 
■僕のスマホの待ち受け画面である。僕が勝手に「耳ペロ」と呼んでいる作品だ。
■ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー・アルバムに使われたバナナ。バリエーションとして皮が剥けていくシリーズである。発想自体は案外、普通なのかなと思うけれど、それは後出しジャンケンだから、そう言えるだけ。今から50年ほど前に、いったい誰がバナナをシルクスクリーンで制作しようと想いつくのか、と。まさにそこがウォーホルであり、ウォーホルたる所以なのだ。

 ■ウォーホルの作品と彼自身という作品に加えて、ウォーホルにはもうひとつ作品がある。彼の制作の場であり、サロンとしての役割も果たしていた「ファクトリー」と、そこに集まった数多くの芸術家やセレブたちとの関係という作品。写真は、撮られることも大好きだったウォーホルと、ファクトリーのミューズであったイーディ・セジウィック。そして、シルクスクリーンの制作も手伝っていたウォーホルの側近、ジェラード・マランガ。
 
【マルセル・デュシャン】
ウォーホルの前にデュシャンありき。デュシャンは自分自身をセルフ・プロデュースなどはしなかったが、アーティストとしても、その作品においても芸術史の断層であり、深い傷跡である。芸術を否定しながら、純度100%の芸術作品を生み出し、人生のほとんどの期間、一切の芸術活動を行わず、チェスに没頭していた芸術家でもあり、ゆえに、常人にはまったく理解が及ばないものであった。
 
■1923年に制作を放棄した未完の代表作『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』(通称大ガラス)。2枚のガラスに描かれているものすべてに意味があるのだが。
 
■これもデュシャンの代表作。発想の転換としての芸術作品であり、それは「レディメイド」と呼ばれた。ウォーホルは消費文化の象徴として「キャンベルのスープ缶」を複製したが、デュシャンは既成の男性用便器に偽名でサインを入れ、複製さえせず、そのまま展覧会に出品することによって革命を起こしたのだ。
 
【ジャスパー・ジョーンズ】
1950年代中期、若かりし日のロバート・ラウシェンバーグと共に(一説にはBLな関係にあったという)「NEO DADA」を標榜したジャスパー・ジョーンズの作品。
 
 
 
【ジグマー・ポルケ】
1960年代初頭のドイツで「資本主義リアリズム」を標榜したジグマー・ポルケ(1941~2010)の作品。
 

 
 
【デヴィッド・ホックニー】
都市から少し離れた、裕福な暮らしを表現する「サバーヴィア【郊外】」という言葉がぴったり当てはまるデヴィッド・ホックニーの作品。絵であれ写真であれ、そこには何か、静かな狂気が紛れ込んでいる。
 
 
■80年代に精力的に制作した写真によるアート作品。これは技術ではなく、センスだけの問題なのだが、そのセンスが素晴らし過ぎて。
 
【ロバートBキタイ】
デヴィッド・ホックニーと共に、主にイギリスで活動し、ブリティッシュ・ポップ・アートを牽引した。どことなくホックニーに近いものを感じるのだな。
 
 
 
【ジャン=ミシェル・バスキア】
何の説明も不要だろう。もともとはストリート系のグラフィッカーだったが、バスキアが街を歩いているウォーホルを見つけ、ウォーホルに手書きの絵葉書を買ってもらったことからアーティストの道が開けてゆく、という彼の物語は、同じくアーティストのジュリアン・シュナーベルが撮った映画『バスキア』(1996)で克明に語られている。

 
 
【ヨゼフ・ボイス】
50年代にフルクサスで活動を始め、以後、パフォーマンス、インスタレーション、彫刻、ドローイングなど、さまさまな表現により自らの芸術を鍛え上げた。その長い活動はアンチ・デュシャンの立ち場を表明した動きでもあった。
 
 
【フランチェスコ・クレメンテ】
80年代にイタリア3Cと呼ばれ、人気が高かったアーティストのひとり。僕は特にこのクレメンテが好きだったし、それからもずっと「好き」が続いている。だけど、その「好き」の理由はうまく説明できない。際立った作風がありそうで、ないような。それでいて圧倒的なオリジナリティを感じるし。無理やり答えを見つけるなら、多様で自由だからということになるのかも知れない。
 
 
 
 
【ブリジット・ライリー】
ミニマリズムを代表するアーティスト。デジタルがない時代にこういった作品を生み出すことができたのは、やはりアーティストの恐ろしく「強靭な精神」があったから、としか言いようがない。現在のテクノが登場する前夜、ハウス・ミュージックと呼ばれていた時代のヴィジュアルにフラクタクル図形が多く使われていたことを考えれば、ライリーのアートは30年以上は先行していたんじゃないかと思う。
 
 
【ファーラー・アタッシ】
近年のアーティストだが、僕にとってその作品は(目はチカチカするものの)とても魅力的である。もしかすると。ブリジット・ライリーのように、ミニマリズムの系譜に属するアーティストなのかも知れない。僕にとってミニマリズムとは、(極端な物言いになってしまうが)極度に削ぎ落とされ、最小限のものだけで構成されたアートを指すのではなく、最小限を突き詰めることによって生まれた過剰なアートではないか、と感覚的にそう思っている。分かり難いけど。
 
 
 
【ジャクソン・ポロック】
1943年頃からアクション・ペインティングによる制作を開始し、「抽象表現」の大きな波を牽引することになったジャクソン・ポロックはアメリカが生んだ最初のスター・アーティストになり、世界のアートの中心をパリからニューヨークへと引き寄せたのである。
 
 
 
【マーク・ロスコ】
一見、何となく画布を分割し、それぞれに色分けしたようにしか見えない作品だが、単純に塗り分けられたのではなく、それぞれにそれぞれの色が混ざりながら、分割、構成されたその作品はとても生々しく、肉感的に感じられる。特に実際にその作品をみれば、ダイレクトに心の奥に迫ってくるのだ。すごく感動できるのに「言葉ではうまく説明できない」。それもまた、芸術の側面でなのだと思う。
 
 
 
【イヴ・クライン】
1948年代頃からモノクロームの制作を始め、インターナショナル・クライン・ブルーと呼ばれた「青」を誕生させたアーティスト。この作品を観た後なら、このような作品を誰だって制作できるのかもしれないが、それはただのモノマネでしかない。芸術とは時代の流れに沿いながら、一歩先を進むか、二歩先を進むか、常に革新的であらねばならない使命を受けているのだ。

 

 
 
【サム・フランシス】
その昔、大阪の「国立国際美術館」がまだ大阪万国博覧会の記念公園の中にあった頃、「瀧口修造とその周辺展」という展覧会で、展示されていたサム・フランシスの作品を観て涙が流れてきたことがあった。そんなことは後にも先にもその時だけで、今でもそれが何故だったのか自分でも分からないままである。
 
 
 
【サイ・トゥオンブリー】
抽象絵画の巨匠。空間が活かされた、「侘び」と「寂び」がとても魅力的なアートだと思う。
 
 
 
【ゲルハルト・リヒター】
現役のアーティストとしては、デミアン・ハーストと並ぶ巨匠であり、超がつくほど評価が高い作家である。基本は写真とペインティングのミクスチャーであり、静的なニュアンスを醸し出しながら、ひじょうに動的な印象を受ける、輝いた作品が多い。好きだな。
 
 
 
 
【ラッセル・ミルズ】
80年代にデヴィッド・シルヴィアンのソロ・アルバムやハロルド・バッドというミュージシャンのアルバムのカヴァーを制作し、90年代はナイン・インチ・ネイルズとのコラボレイトにより、一連のヴィジュアル・イメージを構築してきたアーティスト。その作品のイメージは鉱物的でありながら水の匂いを嗅ぐことができる世界であり、それはロシアの映画監督アンドレイ・タルコフスキーの作品『鏡』や『ノスタルジア』の世界と通底しているように思っているのだが。
 
 
【アリータ・アンドレ】
現時点ではもう10歳になろうかという女の子だが、下の写真の通り、彼女は3歳の頃からジャクソン・ポロック的アクションペインティングを実践してきたアーティストである。僕のブログで紹介した時には、「抽象絵画」として括り、「抽象絵画」の危険性は「誰にでも描ける」という間違った思い込みであり、もちろん描くという行為自体は誰にでもできるが、彼女と同じような完成度で描くことなど、決してできはしない、というようなことを書いた。この先、彼女が表現というものや、芸術というものに意識的になったとき、果たしてどのような作品を創造するのか、とても楽しみである反面、一抹の不安も感じている。
 
 
 
 
 
【ティーシャー・ムーア】
僕のブログでは何度も紹介してきたティーシャー・ムーアの作品。一見、ちょっぴりお茶目な、普通のオバサン(失礼!)が制作した、あまりにも自由度が高い作品群。1枚1枚を見れば、それほど、なのかも知れないが、たくさんの作品を観れば観るほど、その凄さが理解できる。全体的には、どこをどう切り取ってもすべてが「可愛い」のであり、これからも僕はこの「可愛らしさ」をずっと評価し続けたいと思っている。
 

 
 
【グイド・クレパックス】
1960年代末から70年代にかけて活躍したエロティック・コミックの作家(1933~2003)。代表作は『ヴァレンティーナ』。そのエロでスタイリッシュなセンスは現代においても古さはまったく感じられず、むしろ、ますます有効じゃないのかな、と思う。


【ミンガリング・マイク】
アートの歴史からは少し外れるけれど。SOUL MUSICが好き過ぎるあまり、自分自身がSOUL MUSICのスターであるという限りなき妄想を抱いた末に、実際には存在しないレコードやそのジャケットを段ボールで制作し、自らカヴァーアートを描いたうえに、そのライナーノーツまでを書いてしまったという、妄想だけで完結した男のアートである(何だか分からないけど、イラストがとても可愛くて味があって、やっぱり凄いのだな)。作品集も発売されたことがあって、一部では熱狂的に迎えられた。
 
 
 
 
僕のブログ1周年を記念して3回に渡って総集編的に書いてきたアートの特集、いかがでしたか。最初は写真についても総集編を書こうと思っていたけれど、画像をたくさんUPしなければならなくなり、僕自身も少しずつ息がきれてきたので、今回をもってブログ1周年記事は終了。次回から通常の記事に戻ることにする。
 
まぁ、通常の記事といったって、どこがどう変わるのかは分からないけれど。少なくとも画像の数や、YouTubeの音源は減らして、もう少しすっきりさせていこうというのが、今のところの計画である。
 
それでは、これからもヨロシクと、いうことで。アデュー・ロマンティークニコ
 
        ※※※※※※※※※
 
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アンドレ・ブルトン、フィリップ・スーポー、トリスタン・ツァラ、ポール・エリュアール…。
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