ロマンティークNo.0153 カメラを離すな!時代を撃ち抜いてきた写真家集団『マグナム・フォト』 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

こんにちは。僕のブログ【アデュー・ロマンティーク】へ、ようこそ。

 

音楽の記事を3回続けたので、そろそろ違うテーマで書きたくなってきた。そういえば最近、写真のことを書いてなかったな。そういうことで。今回の記事タイトルは【カメラを離すな!時代を撃ち抜く写真家集団『マグナム・フォト』】。

 

まずは『マグナム・フォト』【Magnum Photos】について少し説明する必要がある。『マグナム・フォト』とは1947年にロバート・キャパ(1913~1954)、アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908~2004)、ジョージ・ロジャー(1908~1995)、デヴィッド・シーモア(1911~1956)の4人の写真家によって設立された写真家集団。『マグナム・フォト』の正会員であるということは、星の数ほどいる写真家の頂点であるかどうかは別としても、その実力の高さを認められているということであり、(何かしらの基準をもって)世界中の中から選ばれた写真家であることを証明する。現在では約50名のメンバーが名を連ね(内、日本人は久保田博二のみ)、歴代のメンバーにはいくつもの有名な作品を撮り続けてきたエリオット・アーウィットの名前が並ぶなど、『マグナム・フォト』は名実共に世界最高水準の写真家集団であると言える。

 

メンバーはそれぞれが独立した活動をしている写真家であり、その写真も報道写真を始め、人間そのものを撮ったもの、アーティスティックな作品、ファッションや広告の分野の写真まで幅広く、逆に言えば集団としてのコンセプトなど、統一されたものはない(はず)。活動の目的としては、写真家同士の情報共有の場として機能しつつ、グループ展のような作品発表の企画などを行い、全体としては時代を見据えた写真の在り方や可能性を追求するための組織ではないかと思っている。

 

それでは。優れた写真家たちが、それぞれの時代の「今」を伝える証言者として。時代を撃ち抜き、アクティヴに撮り続けてきた数々の写真の中から、僕が知っている限りの中で「僕が好きな」という選択による作品を紹介していこうと思う。

 

まずは。日本でも有名なエリオット・アーウィット【Elliott Erwitt】(1928~)から。もはや何の説明も不要かも知れない。その数々の、とてもロマンティークな作品は、逆にロマンティーク過ぎて、少し「くすぐったい」のだが、優れた写真家の、とても優れた写真であることには間違いはない。

 

■1989年にリリースされたフェアグラウンド・アトラクションのファースト・アルバムのカヴァーにも使われた、とても人気のある作品。ロマンティークの極みだと思う。

 

 
 
■エリオット・アーウィットの中でも、僕が特別に大好きなシリーズ。1960年にジョン・ヒューストンが撮った映画『荒馬と女』のスチール写真。ゲイリー・クーパーと共にアメリカ映画を代表した大スター、クラーク・ゲーブルと、若手で実力もあった人気俳優、モンゴメリー・クリフトに挟まれ、その中央に座るマリリン・モンロー。この素晴らしい構図!この構図から浮かび上がってくる、さまざなものが(この映画の撮影終了後、間もなくゲーブルが亡くなり、モンローもモンゴメリー・クリフトも相次いで亡くなるという、「呪われた映画」(原題は【The misfits<不適合者>】」である。しかもこの映画の脚本は、当時はすでに冷え切っていたものの、モンローと結婚していたアーサー・ミラーであった)、良くも悪くも、この写真に「永遠の魅力」を与えているのだ。この映画のスチール撮影には当時、『マグナム・フォト』の編集などの仕事をしていた女性、インゲ・モラス(マグナムの正会員ではなかったが、数々の素晴らしい写真を残している)も参加しており、このスチールとはまた異なる、もっとプラベートに寄ったマリリンが撮られている。蛇足だが、インゲ・モラスは1962年、モンローと離婚したばかりのアーサー・ミラーと結婚することになったという話。
すべては、この『荒馬と女』から始まる【The misfits】たちのドラマであった。
■モンティこと、モンゴメリー・クリフトとじゃれ合うマリリン。
■マリリン・モンローとの結婚が決まった1956年、アーサー・ミラーは当時の親友に電話をかけて、意気揚々とこう言ったという。「俺、結婚するんだ。相手は誰だと思う。あのマリリンなんだぜ」と。僕自身にとってマリリン・モンローは、(外見上では)決して好きなタイプの女性ではない(間違いなくオードリー・ヘプバーンの方が好みのタイプだ)。超ワガママで、常に周囲の人たちを困らせてきたし。けれども。僕は彼女の魅力に決して抗うことができない。「何故だろうか」と思考を巡らせてみるが、答えは見つからない。そのような魅力がマリリン・モンローにはあるような気がするぶー
■ビリー・ワイルダーが撮った傑作『七年目の浮気』(1955)の超有名なシーンの、別ショット。

 

 

■アレック・ソス【Alec Soth】(1969~)。ロバート・フランクから始まるアメリカの「オン・ザ・ロード」(ジャック・ケルアックによるビートニク小説の代表作のタイトルから)の系譜を継ぐ写真家。クールな視線が写真の背後にある時間を止めている。

 
 
 
 
 

■マーティン・パー【Martin Parr】(1952~)。イギリス生まれ。人々の暮らしの、すぐ傍にある、ちょっとしたリゾートに焦点を当てた写真はどこか作り物のようであり、美しいカラー写真であることと相まって狂気じみたものや退廃が浮かび上がってきている。

 

 
 
 
 
 

■ブルーノ・バルベイ【Bruno Barbey】(1941~)。1968年の「パリ五月革命」撮り、一躍、脚光を浴びた写真家。アクティヴに世界中を飛び回り、「時代」や「人間」を撃ち抜いてきた。

 

 
 

レイモンド・ドゥパルドン【Raymond Depardon】(1942~)。フランス、生まれ。アルジェリアやチャドなどを取材した報道写真家であり、1963年頃からドキュメンタリー映画を中心に精力的に映画制作も行っている。

 

■大女優、ブリジッド・バルドーを撮った少々、やさぐれたポートレイト。

 

 

 

ブルース・デヴィッドソン【Bruce Davidson】(1933~)。ニューヨークのハーレムをシリーズ化して撮った写真家。2009年にリリースされたボブ・ディランのアルバム『トゥゲザー・スルー・ライフ』のカヴァーに作品が使われた。

 

■どこにでもある暮らしの一部を切り取ったような、何気ない、この写真に強く魅かれるのは、被写体の女性の表情から読み取れる、「強い意志」のようなものに共振するからだろうか。

 
 
 

■顔のアップを撮るブルース・ギルデン【Bruce Gilden】(1946~)、ニューヨーク生まれ。ギルデンが撮った一連の写真を見てしまうと、まず誰もが意味なく謝ってしまうことだろう。ごめんなさい。参りました、と。世の中にはほんとうに凄い顔を持った人たちがいるのだ、と驚かずにはいられない。「その人の顔を見れば、その人の人生が分かる」という道理から言えば、この人たちはいったいどのような人生を歩いてきたのか、と。道理にかなわず、まったく想像が及ばないのである。「既成を超えて、はみ出した世界」とでも言えばいいだろうか。

ギルデンによって選ばれ、被写体になった、こんな人たちばかりを集めて1本の映画を撮ったら、とてもおもしろい作品ができるような気がするな。

 
 
 
 
 
 

■スーザン・マイゼラス【Susan Meiselas】(1948~)、ニューヨーク生まれの女性写真家。ニカラグァや中央アメリカなど、政治不安に陥っている国を取材し、高い問題意識を持って撮影し続けてきた。

 

 
 

■ジョセフ・クーデルカ【Josef Koudelka】(1938~)。チェコスロバキア生まれ。1968年にチェコスロバキアで起こった革命「プラハの春」を取材した写真やジプシーたちの暮らしを、ありのまま撮ってきた。

 

 
 

■リーズ・サルファティ【Lise Sarfati】(1958~)。アルジェリアに生まれ、後にパリに移る。共産主義から解放された国々の暮らしを撮影しているという。ストーリー設定され、演技された、映画のワンシーンのような写真から感じる、その違和感にはとても不思議な魅力が内在している。

 

 
 
 
最後はスティーヴ・マッカリー【Steve McCurry】(1950~)の作品を1点だけ。「ナショナル・ジオグラフィック」(村上春樹の小説『騎士団長殺し』の中で、免色さんという謎の多い人物の家の本棚に並んでいた雑誌である)の1985年の6月号の表紙を飾った『アフガンの少女』は、センセーショナルに受け入れられ、世界で最も有名な写真のひとつとなった。この『アフガンの少女』の被写体となった当時、12歳のシャバード・グーラーは、自分の写真が世界的に知られていることを知らないまま、難民を助けるボランティア活動を続けていたが、2002年に不正な書類を持っていた、というような内容でパキスタン当局に逮捕されたというニュースが伝わってきたことがある。その後の彼女の情報は残念ながら持っていない。
 
■真実を真正面から見据えようとする、瞳の純粋さと強さが世界に反響したのだと思う。
 

最後の最後に。僕のブログタイトルでもある【アデュー・ロマンティーク】という言葉がすごく似合う、エリオット・アーウィットの写真を添えて、この記事を終わることにするね。

それでは、『アデュー・ロマンティークニコ』。

 

 

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