借り入れよりも債務圧縮を優先-英企業の「安全が第一」の姿勢
11月23日(ブルームバーグ):英国の不動産市場が急落し始めた一年前、不動産会社パーシモンの借入残高は9億6000万ポンド(約1400億円)だった。以来、マイケル・キローランCFO(最高財務責任者)は借入残高の圧縮に取り組み、58%削減した。
「安全が第一」の経営姿勢だと語るキローランCFOは「現在でも市場は不透明で、企業は他人資本比率の引き下げを進めたい」と指摘する。また、信用危機の影響で自社も含めて企業が過剰借り入れを警戒するようになったとし、パーシモンの債務負担を「年末までに相当部分」減らしたいと説明する。
政府が出資するロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)やロイズ・バンキング・グループなどを含め英国の銀行は今、融資先が消極的になり、数百億ポンドに上る承認済みの融資枠利用を見送るという事態に直面している。この状況は、英国の融資が伸び悩んでいる可能性があり、その原因として消費者の需要低迷ではなくむしろ銀行側の貸し渋り姿勢を指摘する政府や経済界団体による主張とは相反するものだ。
中小企業向け融資関連団体(在ロンドン)のピーター・イベットソン会長によれば、RBSの場合、承認済み法人融資のうちまだ活用されていない分が270億ポンドを超える。英銀HSBCホールディングスの同国商業融資部門を統括するノエル・クイン氏は、同行も融資の「需要不足」が見られると指摘。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ・コマーシャルの渉外担当幹部のスティーブン・ペッグ氏は、中小企業向け融資需要は最高20%落ち込み、借り手は債務返済の前倒しを進めていると説明する。
イングランド銀行(英中央銀行)が11月18日に公表したデータによれば、9月の法人融資は46億ポンドの減少となり、多くの企業が資金繰りを引き続き懸念していると報告している。
シティー大学カス経営大学院(ロンドン)のジョフリー・ウッド教授は「不透明な時代で企業が重債務を抱えているなら、当然、借り入れ需要が急激に落ち込むだろう」と指摘。その上で、「銀行の法人融資の減少にはまったく驚かない。企業は債務返済努力を行っている」と語る。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=azDQzXtJpu4g
これこそ、バランスシート不況の典型例ですね。
>「安全が第一」の経営姿勢だと語るキローランCFOは「現在でも市場は不透明で、企業は他人資本比率の引き下げを進めたい」と指摘する。また、信用危機の影響で自社も含めて企業が過剰借り入れを警戒するようになったとし、パーシモンの債務負担を「年末までに相当部分」減らしたいと説明
企業が、借り入れよりも返済に力を注ぐ。
>政府が出資するロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)やロイズ・バンキング・グループなどを含め英国の銀行は今、融資先が消極的になり、数百億ポンドに上る承認済みの融資枠利用を見送るという事態
銀行も、不良債権を抱え、融資に消極的になる。融資を受けられない中小企業を中心に、倒産が増える。銀行の不良再建が増える。さらに融資に消極的になる。
まさに、負の連鎖。日本のバブル崩壊後のバランスシート不況そのものですね。
バランスシート不況を理解するには、この本がお薦め!
『世界同時バランスシート不況』 リチャード・クー&村山昇作 著
私のような素人でも理解できます^^
英国の経済学者さんたちは、このバランスシート不況の対策について研究しているのか疑問ですね。