インタビュー:鉄道事業、英国・中国中心に拡大=日立
[東京 3日 ロイター] 世界的に鉄道建設需要が高まるなか、日立製作所(6501.T: 株価, ニュース, レポート)は英国や中国を中心に海外での事業展開を拡大していく方向だ。同社海外交通営業本部長の光冨眞哉氏が3月30日、ロイターとのインタビューで語った。
英国で高速鉄道車両の製造などに関し優先交渉権を獲得したことから、今後は現地生産を進める方針という。今後について、モノレール整備を柱としながら、アジアではインドやベトナムなどでのプロジェクト参加に強い関心を示した。また、JRや車両メーカーとともに高速鉄道整備に関するビジネスにも意欲をみせた。
日立の鉄道事業での海外売上高は2割程度だが、メンテナンスなど新しいビジネスモデルを構築することで中期的に伸ばし、収益も改善していきたいという。 鉄道事業の売上高は2007年度が1250億円、2008年度(見通し)は1460億円に拡大。ただ、2008年度は為替差損で赤字の見込み。
インタビューの詳細は以下のとおり。
――世界の鉄道整備に関する需要をどのようにみているか。日立としては中国と英国を強化していくのか。
「景気にかかわらず、環境問題や景気の刺激策という観点で、鉄道投資は世界的にこれからも加速していくだろう。米オバマ政権のグリーンディールのなかでも鉄道整備は目玉の1つだ。このうち、中国に関しては、都市交通から新幹線への主回路・整備装置の供給まで、注目すべき市場と位置付けている。国内ビジネスとして振興させたい中国政府の思惑があり、技術移転や現地生産という観点から中国企業との関係強化は不可欠で、当社も西安に現地企業との合弁工場を持っている。すさまじい勢いで投資が行われているほか、規模も大きいので日本メーカーだけでなく、世界の車両メーカーが注目する市場だ」
――日立をはじめとする企業連合は英国の高速鉄道車両の製造・保守事業で優先交渉権を獲得したが、今後の事業展開は。
「英国は鉄道発祥の地として歴史もあるが、鉄道産業としての基盤は弱まっており、独シーメンス(SIEGn.DE: 株価, 企業情報, レポート)や加ボンバルディア(BBDb.TO: 株価, 企業情報, レポート)、仏アルストム(ALSO.PA: 株価, 企業情報, レポート) の3社がすでに参入していた。英国はオープンな市場で、当社としても徐々に受注するようになり、今回優先交渉権を獲得した。このプロジェクトは車両が1000両規模にもなる。英国内での雇用創出を進めつつ、現地で生産設備を整備することで、通貨の変動を回避し安定的な環境でビジネスを進めたい。生産設備については欧州地域で英国内を計画をしており、現時点で3カ所程度に絞り込んでいる」
――他の新興国でも鉄道需要が高まっているが、どのように展開していくのか。
「インドは円借款になるとみられるプロジェクトがある。貨物新線を建設し日本から貨物や信号設備を売り込むプランだ。当然関心は高い。円借款になれば日本のメーカーはどこも注目する案件になるだろう。アジアではほかに、ベトナムも円借款対象の案件としてホーチミンの地下鉄建設がある。当社はもちろんのこと、日本の関連メーカーや商社は大いに関心をもっている」
――日立はどの点に注力し、事業展開していくのか。
「非常に強い製品でエリアにかかわらず進出したい。日立としてはこれまでUAE、中国、シンガポール、韓国でモノレール整備の実績がある。当社に匹敵するのは世界を見渡してもボンバルディアぐらいしかないのではないか。都市交通ソリューションとしてのモノレールは、日立の製品ラインアップ上の戦略として、どこの地域かを問わず勝負できると自負している。もう1つは、単独ではできないが、新幹線建設に関しJRや車両メーカーとともに培った財産を生かしたい」
――海外展開を事業の柱とするうえでのポイントは何か。
「まず為替の問題だ。1年前と比べると、通貨にもよるが円高でコストが1.5倍くらいに上がってしまうので、日本からの輸出型ビジネスには限界がある。もう1つは国・地域で異なる規格の問題だ。日本は独自の規格で鉄道建設を進めるが、英国は欧州の規格を採用しており、欧州内でも相互乗り入れの規格があって、そうしたものに適合しなければビジネスに入り込んでいけない。極めて重要な問題だ」
(泉 沙智記者)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-37319520090403
明るいニュースをひとつ!
貿易立国 日本 ×
技術立国 日本 ○
>英国で高速鉄道車両の製造などに関し優先交渉権を獲得したことから、今後は現地生産を進める方針という。
>「英国は鉄道発祥の地として歴史もあるが、鉄道産業としての基盤は弱まっており、独シーメンス(SIEGn.DE: 株価, 企業情報, レポート)や加ボンバルディア(BBDb.TO: 株価, 企業情報, レポート)、仏アルストム(ALSO.PA: 株価, 企業情報, レポート) の3社がすでに参入していた。英国はオープンな市場で、当社としても徐々に受注するようになり、今回優先交渉権を獲得した。
英国のビジネスモデルは、昔は技術立国でしたが楽をして稼ぐ事を覚えてしまい、とうとう金融立国になりました。しかし、今回の経済危機で金融も破綻して、何も残りません。日本がバブル崩壊に苦しんでいた頃、日本を笑っていました。童話「アリとキリギリス」のように。
日立、GJ!
>景気にかかわらず、環境問題や景気の刺激策という観点で、鉄道投資は世界的にこれからも加速していくだろう。
そうですね。世界中の国々が鉄道投資は増やしますよね。
>中国に関しては、都市交通から新幹線への主回路・整備装置の供給まで、注目すべき市場と位置付けている。国内ビジネスとして振興させたい中国政府の思惑があり、技術移転や現地生産という観点から中国企業との関係強化は不可欠で、当社も西安に現地企業との合弁工場を持っている。すさまじい勢いで投資が行われているほか、規模も大きいので日本メーカーだけでなく、世界の車両メーカーが注目する市場だ
>インドは円借款になるとみられるプロジェクトがある。貨物新線を建設し日本から貨物や信号設備を売り込むプランだ。当然関心は高い。円借款になれば日本のメーカーはどこも注目する案件になるだろう。
やはり、中国とインドは日本メーカーの注目は高いですね。私的には、インドをお願いしたいですが。今後も、技術の海外投資で稼ぐ日本のビジメスモデルに目が離せません!