島内新左衛門は、直茂さまと戦場を駆け巡ってきた古強者だ。
応仁以来の戦乱も治まった勝茂さまの御代、ある日のこと、
新左衛門に御礼日のお目見えがおおせつけられた。
登城して勝茂さまが部屋にお入りになると、
皆々が平伏するなか、新左衛門だけは、
人々の間に背筋を伸ばし微動だにせず座っていた。
勝茂さまが、
「新左衛門、めでたき日だな。」
と御言葉をおかけになると、
新左衛門ははじめて礼をした。
新左衛門はいつもこのスタイルを貫いたが、
これが戦国武士の風習だったのである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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