その米は、佐賀の殿様に☆ | げむおた街道をゆく

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ある時、鍋島勝茂が、領内の白石という地で狩りを行った。
 

ところがその日は朝から非常に寒い日で、あまりの寒さに辟易した勝茂、

近くの民家に避難した。

「突然のコトで申し訳ないのだが、この寒さに難儀している。

暫く火に当たらせてもらっても良いだろうか?」

この家の老婆は、突然の殿様の訪問にもまったく動じず、
「今朝はひとしお冷えますからのぉ、

これでは流石のお武家様方もたまらんでしょう。
さぁさぁ、どうぞご遠慮なく温まってくだされ。」

暫く老婆と談笑しながら火に当たると身体も温まってきた。
勝茂は老婆に丁寧に礼を言って家を出る。

が、その時、勝茂を見送りに庭に出てきた老婆の目付きが変わる。

「何をしとるかっ! 

その米は佐賀の殿様に差し上げる米じゃぞ! 

それを踏みつけにするなど無礼にもホドがあるっ!」

そう、庭に出た勝茂、ついうっかりと、

ゴザに広げられた年貢米を踏んでしまったのである。
 

激怒した老婆は箒を手に、勝茂の脚を力一杯打ち据えた。

慌てて飛び退いた勝茂は、
「これは申し訳ないコトをしてしまった。許してくれ。」
と何度も頭を下げて帰って行った。

その後、老婆の家は名字帯刀を勝茂から許され、

白石の名主として取り立てられたと言う。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 肥前佐賀藩主、鍋島勝茂

 

 

 

ごきげんよう!