謡初め☆ | げむおた街道をゆく

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信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

ある年、黒田家において、嘉例であると、

備後(栗山利安)の邸宅において謡初めがあった。
 

喜多七太夫なども出演し、小袖をつぼ折り、能も三番、囃子は番数あった。
 

筑前守(黒田長政)も仕手方を謡い、いかにも機嫌よく酒を飲み、

四ツ半頃(夜10時頃)座を立とうとした。

「夜長ですし、今少し咄などいたしませんか?」
そう備後が申したが、

「私がいては、若き者達が遠慮して酒を呑みかねているようだ。

私が帰った後、心やすく酒を呑むように。」

そういって座を立ち、敷居を越した時、但馬(母里友信)が大声で喚いた。

「今少し居てもらって、若き者たちを呼び出し酒を飲ませたかったなあ!
そうすれば座は必ず気ままに成っただろうから、

ぎりぎりに『やい!』とか言いたかったのに!」

その場の人々、これはどういう事かと興を醒ました。
 

筑前守より先に歩んでいた者も聞いたのだから、

聞こえなかったということは無かったのに、
聞こえぬ体で筑前守は帰られた。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 名槍・日本号、母里友信

 

 

 

ごきげんよう!