息子と若き藩主の不和という心残りを残しつつ、81年の生涯をまっとうした栗山利安。
息子の大膳が父の遺産整理をしてみると、
なんと銀百貫目もの未返済の貸金があったと言います。
栗山利安という人はつつましやかで忠義心が厚く、
家中の者には身分の上下を問わず慇懃でありました。
華美贅沢を好まず、倹約かなところはさすがあの黒田親子の重臣というところであり、
家中の者が普段派手な服を着ているのを見かけると呼びつけて、
「衣服には礼服と、普段着と、晴れ着があって、普段から豪奢な服を着るもんじゃない。」
と叱りつけ、
高い馬を買ったものがいると聞きつけるとそのものを呼びつけて、
「どんないい馬でも、二頭分の働きをするわけじゃない。」
と苦言を呈したと言います。
と、一見、とても吝嗇な御仁に思えますが、
大事な時には惜しげもなく金銀を遣ったそうです。
そして、とても面倒見のいい彼は、
「なに? 殿の江戸出府にお共する支度をしようにも金がない? よし、貸してやろう。」
「仰せつかった普請をしようにも金が足りないそうだな。俺が貸してやろう。」
と、部下たちに気前良くお金を貸していたそうです。
しかも、後で返済に来た分は受け取るが、
返済しないからと言って取り立てることもなかったようで、
そうやって積もり積もった貸金が、
筑前入府から利安死後の30年間で積もり積もって百貫目だったそうです。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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