島津氏中興の祖と呼ばれる島津日新斎。
彼の父は、幼い頃に下男に討たれ他界。
彼の母・常盤は、父親が亡くとも武家の人間として立派な人間にするために、
海蔵院の頼増に日新斎を預けた。
頼増は厳しく躾けたが、日新斎は当時10才で遊びたい盛りであった。
ある日、寺の坊主たちと日新斎が寺で暴れ回っていた。
これを見た住職頼増は激怒。
薙刀を持ち出して日新斎達を追い回した。
脱兎のごとく坊主たちは玄関から逃げ出した。
ところが日新斎だけは何故か玄関の前でジッとしている。
追いついた頼増が、
「何をしているのか?」
と訪ねた。
薙刀持ってる人間が追い掛け回しているのである。
普通なら逃げるだろう。
日新斎、
「履物がないので逃げられない。誰かに持ってこさせてくれ。」
この返答に頼増は、激怒するかと思いきや、
「それこそ武家の子、あなたは良き大将になられるでしょう。」
と褒め称えた。
追い掛け回されてる時でも、裸足で逃げるという無様な真似をせず、
武家の人間としての心構えを忘れなかったといういい話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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