存保は、苦笑して☆ | げむおた街道をゆく

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戸次川合戦が開始されると、仙石・十河両軍は、島津の先陣とぶつかり、
これを川へ追入れて一旦踏み止まった。
 

十河存保は、弓矢功者だったので、彼我の虚実を察し、急ぎ仙石の陣へと馳走して曰く。
 

「今、敵の先陣敗れたりと言えど、これは実の敗軍ではなく、

味方を引っ掛けるはかりごとである。
後陣の大軍は村々に満ちて我らに備えており、

川向こうに伏兵があるから渡るべきではない。
勝ちいくさの勢いをもって一旦引き揚げ、兵卒を立ち直らせ、

陣を固めて次のいくさを待つべきである。
敵は決して川を渡って来ないから、その間にこちらの方便もしやすくなるだろう。」


仙石はもとより勇猛で怒りやすく、人の言を容れない性分だったため、

存保の献策を用いず、大いに怒りて、


「この勢いを持って敵を追撃せねば敵はまた持ち直すだろう。急ぎ川を渡り追伐すべし。」
そう言うなり自ら槍を取って進発した。


存保は苦笑して、

「今思い知ったわ。」

と言い捨てると自陣に戻り、郎従数人を呼び寄せ、
「汝らは国へ帰り、千松丸(存保嫡男)を連れて上京し、

このいくさのあり様を申して、秀吉公のお目にかけよ。
これが専一の忠節であるぞ。」

そうしかじか言い捨てると、手勢に下知し川を渡って行った。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 戸次川の戦い、十河存保

 

 

 

ごきげんよう!