慶長のころのお話。
土佐の藩主・山内一豊が、室戸岬の沖を航海中に突然の時化に襲われた。
船体が悲鳴を上げ、このままでは沈没してしまうと思われた・・・。
まさにその時、何処からともなく一人の僧が現れ、巧みに船の舵を取り、
船は無事に港へと辿り着くことができた。
一豊が礼を言おうと僧を探したが、すでに僧の姿はどこにもなかった。
近くの寺の僧であろうかと、一豊が探させると、
なんと津照寺の御本尊が潮水で濡れているのが見つかった。
この寺の御本尊は地蔵菩薩であり、弘法大師が安置したと言われ、
以来「舵取り地蔵」と呼ばれるようになった。
またこの地蔵菩薩は僧に身を変えて火事を村人に知らせ、
火難を逃れたという物語もあり、
今でも「水難、火難よけ」の仏さまとして親しまれている。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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