長久手の合戦の時は、卯月九日に小幡を打ち出ました。
その時、私(水野勝成)は眼病を患っており、そのため兜を付けていませんでした。
それを、父の惣兵衛(水野忠重)が見て、
「お前の兜はなんのためにあるのか!
こういう時に着けるための兜であるのに、どうして着けないのか?
それで一体何の役に立つというのか!
そういうことなら、使わぬ兜はクソ桶にしてしまえ!」
そういって散々に叱りつけました。
私は父に、
「親だと言ってもそんな言い方は無いでしょう!
今日オレの頭を割られても、それはそういう運命だったってことだ!
是非に及ばぬ事である以上、たった今お暇乞いをいたします!
今日の一番首でも取って…、いいや取ってくる!」
と言い捨てて馬を引き寄せ打ち乗り、その場から直に敵陣に乗り込みました。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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