尾張家は、このように御入魂で☆ | げむおた街道をゆく

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池田輝政様の御逝去の時、武蔵様(池田利隆)は江戸に在った。
 

帰国のための御暇を得る時分であったため、武蔵様にはこの事を申し上げず、

お聞き無きように、と御老中の内意であったため、御暇が出た後にお聞きになり、

これへの御愁傷は大方成らないものであった。

直ぐに帰国の途につき、成宮にて尾張大納言殿(徳川義直)より、

成瀬隼人正が御使として出られ、
その他にも御家来衆が武蔵様を迎えるために御出になった。

武蔵様の御愁傷の様子を、隼人正は見て、
「左様に御愁傷されていては、幼少の御舎弟たちを、今後お取り立てなさることも出来ません。
御酒を参らせられますように。」
と、御酒を乞い、先ず自分が中椀にて二つばかり呑み、武蔵様へ進上した。

 

武蔵様が無理に呑まれた時、
「そろそろ潮時が良いでしょう。早く御船に召してください。」
と言って、実は未だ潮時の前であったのだが、御船を召された。

 

しかし潮時前であったので船が出されぬままであったのを、

隼人正は股立を高く取り自身海に飛び込み、武蔵様が召した船を押し出した。

隼人正がこのような体であったので、他の尾張家の諸士も各々海に飛び込み船を押した。
 

これにより船は浮き出た。

池田輝政公の御妹は浅野紀伊守(幸長)の室であり、また尾張殿は紀伊守の聟君であった。
然れば、尾張殿の御内室は武州様の姪子である。

それ故に、尾張家はこのように、武蔵様に対して御入魂であったのである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 播磨姫路藩第二代藩主、池田利隆

 

 

 

ごきげんよう!