君はいつも、掘り出しを御好みに☆ | げむおた街道をゆく

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伊木清兵衛(忠次)は、池田三左衛門尉(輝政)の家老である。

清兵衛は病気で死に際の時に、

「今生の望みに、今一度公の御目にかかりたい。」

と言った。
 

三左衛門尉は急いでやって来て、

「どうしたのだ清兵衛。

近頃そのような望みがあるとは知らなかった。

申しておきたい事があるならば申すがよい。」

と言った。

清兵衛は頭を上げて手を合わせ、

「これまでの入御有難く存じ奉ります。
ただ一言申したき事がございますので、これを申し上げます。

君はいつも掘り出しを御好みになられ、ひたすら士の掘り出しを、

第一とお思いになられています。
これはよからぬ御癖です。

士はその身の程よりも一際相応に仰せ付けられてこそ、
永く御家を立ち去らずに忠勤を致すものです。

この事を申すために御目にかかりたかったのです。」

と言った。

これに三左衛門尉は、

「今の諫言はもっともだ。

その志は山よりも高く、海よりも深い。
わしは決して忘れない。」

と、清兵衛の手を取り、涙を流して別れた。

それより池田家の家風は、よくなったということである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 雄々しく逞しく、池田輝政

 

 

 

ごきげんよう!