こうすれば、地下人共が立ち上がり☆ | げむおた街道をゆく

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豊臣(小早川)秀秋が関ヶ原の後、家老の歴々を成敗ありし後に、

何某とかいう大身の者、家を立ち退くことがあった。
 

白昼に、妻子を引き連れ弓鉄砲で前後を固め立ち退いた事に、秀秋は以ての外に怒った。

「白昼に城下を、あのような体で引き払わせるとは武家の恥辱である! 急ぎ討ち取れ!」

しかしこれを、家老の松野主馬が諌めた。

「彼らのような僅かな人数が立ち退くのを成敗するのは、何より易きことです。
しかし殿は前々に、誰々を御成敗されましたが、

これについて世では然るべからざる事だと取り沙汰しています。

であるのに又彼らを害せば、人々からの批判は止まらなくなるでしょう。
ただ、黙って捨て置くべきです。

ですが、どうしても害するべきであると言われるのなら、私は人数を持っていませんが、
申し付けて討ち取ります。」

秀秋は不思議に思った。
「汝は彼らを打ち取る人数を持たぬのに、どうするというのだ?」

松野は申し上げた。
「これより町人在々にこう触れ回します。

『落人あり。討ち取って衣装をはぎ道具を取れ。それらは全て下される。』

こうすれば地下人共が立ち上がり、即座に討ち取ることでしょう。
どうしても彼を討ち取ると決心されるのであれば、

御手を下されずともこの謀にて討ち取れます。
結果として同じことですから、小さな違いは気になさらないべきです。」

これを聞いて秀秋も心和らぎ、
「私の落ち度にならないということなら、かまわない。」
と許可した。

 

結果、松野の考えた通りとなった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 松尾山に陣する、小早川秀秋

 

 

 

ごきげんよう!