高松城の守将・清水宗治が、明日、切腹をするという日のことである。
宗治は、左右のものに命じて髭を剃らせた。
これに、その場にいた者達は聞いた。
「我らの命、もはや旦夕に迫っております。
長左衛門(宗治)様はそんな時期に何故、
髭を剃って容貌を整えるのでしょうか?」
宗治、彼らを返り見ると笑って、
「それはな、秀吉が私の首を信長に献じたとき、
もしその首が垢付き鬚髯蓬々としていては、
宗治の奴め久しく包囲されていたため、顔は憔悴して少しの生色も無し、
などと嘲られるではないか。
私はそれを大いなる恥辱だと思う。
だからこうして整えるのだ。」
と語ったという。
のち、明智光秀を滅ぼし小早川隆景と再開した秀吉は、隆景にこう言ったという。
「清水宗治は、武士の鑑であった。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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