花を生けない風☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

小堀遠州が、伏見にいた頃、

黒田筑前守長政が国へ帰るというので茶会に招いたものの、
長政は途中で病気になり、大津で養生するというので招きを断った。

遠州は残念に思っていたが、幸いにも上林竹庵と京都の数寄者2人がやって来たので、
丁度催していた茶会に招くべく、

「路次の方へ廻られよ。」

と言った。

3人は喜んで茶亭の方へ行ってみると夕立の後で涼しく、

庭の若葉は露が滴るばかりである。

ところが床の間には花は生けてなく、

床の壁にはさっと水を打った跡があるばかりであった。

 

皆が不審に思っていると遠州がやって来て、

「今日の夕立で路次の木々が涼しそうに濡れているのを見た眼では、

花は面白くあるまいと思い、わざと生けなかったのだ。」

と答えたので、3人は等しく感じ入ったということである。
 

ところがこれを聞いた京都辺りの茶人は、雨が降りさえすればわざと床を濡らして、
花を生けない風を流行らせたので、伝え聞いた遠州は大いに笑ったという。

 

この一事をもってしても、いかに遠州が一代茶道の泰斗として、

天下に重んじられたか知れよう。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 遠州流の祖、小堀政一

 

 

 

ごきげんよう!