小堀遠州が、ある時、弟子に、審美眼の良さについてこう言われた。
「本当に先生のコレクションは見事なものばかりで、
私なぞため息をつく以外しようがありません。
こうして見ていると、先生の趣味は、
かの利休よりもはるかに良いものだと思わざるをえません。
先生は利休の収集品を鑑賞する目を持った、
千人に一人なのですから。」
これに遠州は悲しそうな顔をして答えた。
「それはかえって私の凡庸さを表しています。
利休は偉大でした。
彼には自分の肌に合うものだけを愛でる気概がありました。
それに引換え、私は知らず知らずのうちに、
万人受けする趣味に迎合しているにすぎません。
実に、利休は茶人として千人に一人の人物です。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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