古田織部殿に取り立てられた服部道巴が、
遠州殿(小堀遠州・政一)を茶会に招いた時、
その供として私(久保長闇堂)も同道した。
その帰り、私が、
「さても見事な数寄者でした。」
と申した所、遠州殿は、
「一段と不出来な仕方でした。」
と批評した。
「なにかお気に入らぬ事が有ったのでしょうか。」
とお尋ねすると、
「そうです。
炭手前をした時、彼は前の大炭へ火がよく廻ってしまっていたのを失敗と思い、
動かして隠し、火気を丁度良く見事な状態にして炭を置きましたが、
これは道巴には似合わぬ事でした。
悪くなるのは仕方のないことです。
それを良く見せようと思う心は、初心の仕方です。」
そう言われた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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